2017年02月15日

リタイア後に「安心」を追求する危険性

内藤忍公式ブログより。
「老後に安心できる生活をするためにはいくら必要?」というのはお金に関する定番の質問です。仮定を設定すれば必要額を機械的に計算できますが、そもそも資産を持っていれば安心という発想が間違えているのです。
(中略)
「何歳まで生きるか」というのは不確定ですから、いくらあれば安心かという「資産額」の議論には結論は無いのです。
「安心」という感情を基準にするならば、確かにこういう回答が正しいと言えます。しかしなぜ「安心」を基準に意思決定することが当然のような前提を置いているのか、そこに大きな疑問があります。「そもそも」論で言うなら、資産かキャッシュフローか以前に、まずそんな基準で本当にいいのかと考える事から出発する必要があるのではないかと。(後述)

私が知っているシニアの年金生活者は、国債を解約して中古ワンルームマンションを2戸購入しました。それまで国債から入ってくる金利は年間で2万円程度。それを不動産にした結果、キャッシュフローが入ってくる仕組みができ、毎月の手取りは16万円(年間約200万円)になりました。国債の100倍近いキャッシュフローが手に入るようになったのです。
こういう場合、目に見える手取り収入だけでなく、元本部分の価格や各種コストを全て合計したトータルリターンを比較しないと意味がありません。不動産の時価がいくらになっているのかを無視して、キャッシュフローの部分だけ取り出して2万円が200万円だから100倍!みたいな計算をする行為は、「心の会計」の典型であると思います。

ちなみに私もこの事例とよく似たワンルームマンションのオーナーを知っていますが、見かけ上の収入とみなされるキャッシュフローが多いので、国民健康保険・介護保険は毎年80万円以上払っているようです。キャッシュフローによって税金や社会保険料が跳ね上がるコストもきちんと加味しなければ、正しい比較はできません。

するとそれまでは、ひたすら節約生活をしていたのが、入ってくる家賃収入は使っても良いと考えるようになりました。
これもお金に色をつけて区別する行為であり、典型的な「心の会計」の罠に嵌っている人の考え方です。

リタイア後に毎月使っても良い金額が、資産運用の「トータルリターン」に比例して増えるのだ、と言っているならわかります。しかし、「キャッシュフロー」があればそれは全部使ってもいいが国債の元本部分に手を付けるのはダメ、みたいな区別はナンセンスです。

収入は緩やかに減っていくかもしれませんが、持っている預貯金と切り崩していく生活よりずっと安心感があります。
ここでもひたすら強調されているのは「安心」のみで、「安全」だとは一言も言っていないところがポイントです。

不動産投資とは、リスクを取ってトータルリターンを高めようとする行為です。国債を売って不動産を購入すれば、期待リターンは高くなりますが、ポートフォリオのリスクは上がり、資産の安全性は下がります。「安心」という感情を優先してキャッシュフローを獲得しに行った結果、皮肉にも「安全」が犠牲になっている事例だと言えます。

人間の脳に生じる安心、不安という感情は、必ずしも客観的な安全、危険と一致するものではなく、両者が無相関や逆相関になっている場合も少なくありません。

わかりやすい例を挙げると、「飛行機に乗るのは不安だけど、自分で車を運転すれば安心」というのがあり、実際の安全性とは逆になっています。これが脳のバグによって生じる不合理であることを知らなければ、危険な方を選んで安心するというおかしなことが起こります。

関連記事:
昨日の記事の続きです。
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本書の要約として最適な記述が後書きの中にあります。 ほんとうに、こういう生活は合理的なのか、理性的で文化的な…
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9.11のテロ後1年間、恐怖に駆られて移動手段を(より安全な)飛行機から(より危険な)車へシフトした米国人が増え、その結果命…
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Kotaroさんのブログより。 貯金を取り崩す生活は不安か
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2017年02月10日

自分に不要な選択肢は「なくなったほうがいい」のか?

ゆとり隊長さんのツイートより。引用されていた元ツイート。

ある人にとっては絶対に合意できない酷い契約条件だったとしても、言えるのはそれが自分には不要ってだけのことで、それが世の中から「なくなったほうがいい」とまで言ってしまうのは、その条件で合意する人がいる可能性を無視している点で「想像力不足」だと思います。

この例で言えば、子供産んだら働けなくなる職種でも、そんなことはどうでも良いと判断する人がいる可能性を無視して、彼らの選択肢が減るほうがいいと言っているわけです。自分が選択しなければ済むだけなのに、なぜかその選択肢ごと世の中から消し去ることを希望する発想には、不同意と言わざるを得ません。さらに言えば、その発想が無邪気な善意から来ているのだろうと想像できるだけに、余計に怖さが募ります。

どんな条件の雇用契約も、なくなるか存続するかは雇用者一人ひとり、労働者一人ひとりの選好次第で自然に決まればよいことで、自分の選好を「世の中に存在すべきか否か」という視点にまで拡大して適用すること自体が大きな間違いだと思います。自分とは価値観の異なる他人同士がどこでどんな契約を結ぼうが、第三者が干渉することではないでしょう。


話は変わりますが、受動喫煙防止の件も、本来は店と客それぞれが自由に選べばよいだけの話を、喫煙可能な店が「なくなったほうがいい」を実現する方向へ規制が着々と進んでいるのも由々しき事態です。私は嫌煙家なので喫煙可能な店など選ぶことはありませんが、自由な経済活動を阻害する規制をこうも簡単に許していたのでは、国民自身がどんどん貧しくなるだけだと思います。関連ツイート:
関連記事:
netgeekさんの記事より。 【炎上】AbemaTVがタダ働きの奴隷を募集。「タレントに予算を使っているので時給0円です☆」テ…
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2017年02月03日

過去のスーパーボウルを見ながら思ったこと

テレビを捨てて以来長らくNFLは見ていなかったし、ネットでニュースを追うこともしていなかったのですが、そろそろスーパーボウルの季節だなと思ってYouTubeのNFL公式チャンネルを覗いてみたところ、過去のスーパーボウルが丸ごとアップされているではないですか。

3年前の第48回を見終わった感想。
ペイトン・マニングえらい老けたな…。ファーストプレイの凡ミスでいきなりセーフティくらったのがケチのつき始めで、やることなすこと上手く行かずに惨敗してるし。これで引退なんだろうなと思わせるような内容なのに、2年後に再びSB出場を果たしたと知って驚きました。

次はその第50回スーパーボウルを見ようと思います。




スポーツでも映画でもゲームでもケータイでも何にでも言えることですが、公開されて間もない最新のものを手に入れようとすると、需要が高い分だけ当然コストも高くつきます。ところが1年も経てばコストは大幅に下がり、無料や格安で手に入ることも珍しくありません。

最新のものを追いかけることをやめるだけで、かつて最新だったコンテンツが未消化のままどんどん蓄積され、故にわざわざお金を払ってまで最新のコンテンツを消化する暇がなくなる、という好循環が生まれます。

早期リタイアして以来、こうしてマイペースで遊んで暮らすのにそれほどお金は必要ない、という思いはますます強くなるばかりです。

関連記事:
当ブログ満7歳の誕生日を迎えました。 総PVは7年かかってやっと100万を超えたところです。感謝。 人生の時間があと何年残っているかわかりませんが、ここまでは思い描いた通りの自由なリタイア生活を送ることができているので大変満足しています。 無理に近況報告ネタを書こうとすると1年前の記事のコピペになりそうなので、最近共…
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2017年01月27日

早期リタイア・セミリタイアしたい人のお金の悩み相談 - 慎重すぎる人の例

1年以上前の記事ですがこんなのを見つけました。
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は5年後の完全リタイアを検討している50代の会社員男性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんが担当します。
allabout.co.jp
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私の独自基準であるACRを計算してみたところ、ACR=77と出ました。
つまり相談当時の45歳50歳時点で即リタイアした場合でも、資産が底をつくのは122歳127歳! しかも年金支給が0と仮定してこれです。5年待つまでもなく、即リタイア可能な状況と言えます。もっと言えば、5年前の40歳45歳時点でも十分に早期リタイア可能だった可能性が高いと思われます。

万が一、公的年金が受給できなかったとしても、65歳から90歳までの生活費は5000万円程度。少なくとも、手元にまだ1億1900万円残ることになります。
こんなにお金が余ってしまうことも勿論もったいないのですが、それ以上にもったいないのは時間ですね。即実行可能なリタイアをズルズルと先延ばしにして、5年や10年という多大な時間を失うことに何の喪失感もないのだろうかと、不思議で仕方がありません。

ご相談者は「かなりの心配性」とのことですが、資金的にこれだけ余裕があれば、早期リタイアを2020年からさらに前倒ししても、大丈夫です。
極めて正しいアドバイスだと思います。FPと言えば老後の経済的リスクばかり煽る人が大人気で目立っている印象ですが、こんなまともな人もいると知って少し安心しました。

投資スタンスについては、偏りを心配されていますが、私も同意見です。国内株式に90%投資しています。
私も同意見なのですが、このFPさんは株式から債券への分散を推奨しているだけなので、私からは国内だけでなく世界中の株式に分散することも付け加えておきます。

訂正:相談当時の年齢が50歳でした。55歳リタイアとかいくらなんでも遅すぎるだろうと、勝手に脳内補正してしまった(^_^;)
数字を訂正しておきます。

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2017年01月18日

『29歳で2000万円貯めた独身女子がお金について語ってみた』 ITTIN (著) その5



p.145
私の場合は資産が1400万になってからようやく重い腰を上げ、預金の一部を株や投資信託に振り分けることにし、分散投資を開始しました。そんな人間もいます。他人がどうであるとか、平均投資額がいくらだとかは関係ありません。
まさに。すべては自分次第ですね。
いくら他人に「円預金に全力投資をすることにもリスクはある」と言われようとも、毎日どんどん価格が変動していくリスク資産なんて怖くて持てないと本人が思っているなら、やはり何もしないことが正解になるでしょう。そういう人が無理をしてリスク資産に手を出すと、ちょっとした○○ショックが来ただけで心が折れてしまい、途中退場して大損するという最悪のパターンが待っています。

p.156
投資を行うかは世間の風潮や流行り廃りではなく、自身の人生から見出すものです。
(中略)
長期で投資に臨む場合には、上がる時も下がる時も、自分自身が他者の意見にぶれずに続けられる投資を選びたいと思っています。
同意。
周りに流されやすい優柔不断なタイプの人は、投資に向いていないと思います。

ちなみに私は、リタイアする前もした後も「上がろうが下がろうが現金が必要になるまでは売らない」というシンプルなルールだけはブレずに続けていますが、それ以外の部分はわりと大雑把で結構ブレてることもあります。

p.162
確定拠出年金のサイトにログインして見直したところ、年率1.8%の報酬が差し引かれる超・高コストのファンドにも投資していたことがわかりました。
(中略)
断末魔のごとき悲鳴を上げながら、積立を中止しました。
恐ろしや〜。

p.163
現に、知識のなかった新入社員の私には区別がつかず運用商品に取り入れてしまったのです。
「無知は損なのだな」と思った次第です。
私らの時代だと新入社員を嵌め込む金融商品といえば生命保険でしたが、今は確定拠出年金にも注意が必要なのですね。

p.178 (FXでGBP/JPYを損切りした話)
私のポンドちゃんは約3万5000円の損失を出してお亡くなりになりました。
FXでJPY売りポジションを持ち続けて為替差損でやられるのはよく見るパターンですが、これだけ少額の授業料で最初に損失を経験できた事は逆に良かったと思います。もしビギナーズラックで円安方向に動いて利益が出ていたとしたら、
p.180
為替の期待リターンは金利を織り込んでゼロであり、長期的に高金利通貨がマイナスの方に動いていくとしたら、長期で保有する意味はなく、手数料や税金分リターンはマイナスと考えるのが相当ではないかと思いました。
(中略)
長期的に投資するのであれば、将来的な成長が期待できる資産をメインにしよう、と思いました。
この重要な気付きを得ることもないまま、FXにお金を注ぎ込み続けていたかもしれませんからね。

p.180-181
この他にわかったのは、「含み損の状態でもサックリ忘れて日々を過ごせる」という自分の性格です。許容内であれば、口座の状況を気にせずのほほんと日々を過ごせるのです。
これは私も同じです。この性格が幸いして、2008年のリーマンショックで資産が40%近く減っても狼狽せずに、嵐が過ぎ去るのを待つことができました。長期投資におあつらえ向きの性格だと思います。

p.198-199
コツコツ積立投資においては私の投資成果を反映する「勝ち負け」は今後数十年以上にわたり、決定しません。あるいは、天に召されるまで決着しないかもしれません。
これ、長期投資に欠かせない大事な視点です。短期的な結果を見て一喜一憂することは慎まなければなりません。

私の場合は長期投資を継続していく中で、そもそも一般に言われている「勝ち負け」なんて実はどうでもいい事なんじゃないのと思えてきました。名目リターンがプラスなら勝ちでマイナスなら負け、というほど単純なものでもなく、自分の人生とは何の関わりもない他人とリターンの優劣を競っているわけでもなく。要は、自分の人生の総コストを賄えるだけの購買力さえ維持できればそれでよく、この結果が私にとって唯一の「勝ち」なのかもと思うようになりました。

本書の読書録は以上になります。ITTINさん、いろいろなネタの提供ありがとうございました。

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