2008年10月31日

『フラット革命』



プロのジャーナリストの視点から、インターネットがもたらした言論のフラット化について書いた本です。
 マスコミが考えている<われわれ>というのは、つまるところ社会全体である。
 社会全体を構成している<われわれ>は、不二家という会社の体質に反発を感じ、この会社が今後どのような対応をしていくのかということを厳しい目で見守っていこうと考えている。新聞はその<われわれ>を代弁しているだけなのであって、そこに記者や新聞社の一方的な主観を差し挟んでいるわけではない━━━新聞は、そういうスタンスに立って記事を書いている。
 一方、インターネットの世界には<われわれ>は存在しない。そこに存在するのは<わたし>だけである。
 そのようなインターネットの世界がマスメディアに突きつけているのは、言論のフラット化である。
 ブログが日本のマスメディアと決定的に異なるのは、ブログは<われわれ>という仮想の世界に拠って立っていないということだ。なぜならブログというのはどこまでいっても<わたし>という個人が書くものであり、個人としてのブロガーが社会全体としての<われわれ>を背負う理由も義務も、そして必要もないからだ。
こうやって並べてみると、やはり従来のマスメディアのスタンスの特異性が目に付いてしまいます。何らかの言論を目にしたとき、それが私的な意見ではなくて、「社会全体を代弁する」という意味で公的な意見だと解釈すべきケースはほとんどないと思うのです。
 インターネットの世界は、マスコミにフィルタリングされずに世の中をダイレクトに、生々しく見ることのできる世界である。ノイズは大量にあふれているが、しかしそのノイズはわれわれの世界に生々しいリアルの実態を表現したものにすぎない。その膨大なリアルの中から、リアリティを失わずに、本質をつかみあげることができるのが、インターネットによってフラット化された世界の本質である。
素晴らしい世界だと思います。ノイズでないものまでノイズとして除去するフィルターなど無いほうがマシです。

本書の終盤に頻出する「公共性」という言葉を、著者は次のように定義しています。
 公共性というのは、異なる意見や異なる立場にいる人たちのさまざまな意見をとりまとめ、民主主義の中へと落とし込んでいく社会の機能のことである。
ウィキペディアの編集合戦などに見られるような「収拾がつかない」状態になることを問題視し、
 フラットな社会の中で、公共性は保証されるのか? インターネットは公共性を保証できるのか?
と問う展開になりますが、ここらへんがいかにもジャーナリストらしい視点だと感じました。

単なるブロガーとして私的な意見を述べるしかない私にはそのような発想は無く、上記の問いへの答は、
「インターネット上の言論に公共性などないし、そんなものは必要ない。」
で終わりです。「ことのは事件」についても本書を読んで初めて知りましたが、率直に言ってそれほど大騒ぎするような事件とは思えないです。
 全員が単なる一個人としてのブロガーになってしまって、すべてがフラットになってしまうと、そこでは公共性が保証されなくなる。オウム真理教のような反社会的存在が出現したとき、その反社会的行為に立ち向かうべき「公共」はどこかに担保されるべきであって、少なくともジャーナリズムを標榜する者はそうした公共性の担保をきちんととらえなければならない。
そういう偏った意味での「公共」なら尚更、不要です。そもそも「反社会的」という概念自体が非常に曖昧で危険なものです。そんな意味の「公共」に言論が拘束される世界なんて、想像したくないです。(反社会的=違法という意味なら話は別ですが・・・)

インターネットに公共性がなくても民主主義は機能すると考えるためのヒントは、『みんなの意見は案外正しい』の中に書いてあったような気がします。

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2008年10月28日

『ETF投資入門』



図書館で予約してから数ヶ月待ちでやっと回ってきた人気本なのですが、突っ込みどころ満載の本です。免疫のない読者にとっては有害な内容を含んでいるので注意が必要です。

読むなら第二章までにしておくことをお勧めします。
特に第三章「ETFの具体的な投資法」に書いてあることの多くは、投資というよりトレーディングのテクニックです。わざわざETFをテーマに掲げた本に書くようなことではありません。スイングトレードや信用取引の解説などは不要なだけでなく、逆に有害です。

必殺「ヒラメ戦術」の解説を読めば、著者が別世界の人であることがわかります。
 ヒラメ戦術のポイントは「下がったら買う」です。損失のリスクを避けるため、年に数回起こりうる大幅な下落局面をじっと待つのです。
(中略)
 もちろん、株価がどのくらい下がるかは予想できませんし、そのタイミングがいつの時点で来るかはわかりません。
ここまでは良いとして、
それを見分けるコツは、相場全体が上げ局面にあるか下げ局面にあるか五感を使って感じることです。
ご、五感ですか・・・(汗)
 私の経験で言えば、2007年後半のサブプライム問題の悪化は予想以上に株価の下落につながりました。しかしながら、わずか6ヶ月間に20%前後も株価が下がったのですから、これほど大きい投資チャンスはないと考えることもできます。
 このように、「〜ショック」とか「〜問題」というような世間を騒がせる事件が起こったときは、萎縮するのではなく、むしろ積極的に買うチャンスと考えるべきなのです。
本書は2008年3月24日発行です。この直前の時期に著者は「五感」を使って「積極的に買うチャンス」と考えていたことになります。その後の株価の推移は見ての通りです。

このように、本書には「相場の動きは予測できる」という、いかにも職業トレーダーにありがちな前提に立った記述が多く見られるのが特徴です。たとえば、
ETF投資で成功するには、こうした相場が崩れる局面をいかにうまく利用するか、またいかにうまく逃げるかが大きなポイントになってきます。
と述べた上で、下落局面では株式ETFの割合を減らして金価格連動ETFの割合を高めた「ディフェンシブ・ポートフォリオ」に切り替えることを提案したりしています。一見もっともらしく聞こえますが、これはETFというパッシブ運用の道具を使ったアクティブ運用に他なりません。
ポイントは、「ポジションをほったらかしにしない」ということです。
いいえ。パッシブ運用の基本は、ポジションをほったらかしにすることです。

おまけ。
第5章の「4.投資家の性格別投資方法」では、20個の質問のYesの数で性格診断するのですが、私は7個以下の「ビル・グロス」タイプになりました。債券王と呼ばれる人物だそうで。
 あなたは、ETF(株式)投資にはあまり向いていません。
そうだったのかー(笑)

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2008年10月27日

余裕資金の定義

PALCOMの海外投資塾: 100年に1度の危機というけれど
から引用させていただきます。
長期投資といえども、所詮、資本主義の継続的発展という目にかけるギャンブル(これまでのところは分のよいギャンブルでした。)ですので、余裕資金(単に現在使うあてがない資金という意味ではないです。そのお金がなくても、人生設計が大きく狂うことはないという意味です。)で行わなければならないのは当然です。
と書かれています。
概ね賛成なのですが、少し引っかかったのが、

余裕資金=単に現在使うあてがない資金という意味ではなく、そのお金がなくても人生設計が大きく狂うことはないという意味

と定義されている点です。
「余裕資金」という言葉を、一般的に見られる定義よりもかなり狭い意味で使われているように感じました。

この定義にあてはめると、私には余裕資金が無いことになります。そのお金が消えて無くなったら(つまり投資の実質リターンがマイナス100%だったら)、人生設計が大きく狂うからです。余裕資金でない資金で長期投資を行っていることになってしまいます。

しかし、私が長期投資に回しているお金は、当分の間は使う予定がないからリスクに晒す余裕があるという意味において、私にとっては「余裕資金」なのです。長期投資の実質リターンがマイナス100%だったら困るけれど、たとえばマイナス20%なら(期待リターンには遥かに及ばないとしても)困らない。そういう位置づけのお金を「余裕資金」と呼ぶことは、何ら問題がないと考えます。

逆に考えると、マイナス100%のリターンでも困らないお金なら、敢えてリスクに晒してプラスの期待リターンを取りに行く意味がどこにあるのか、わからなくなってきます。本当に消えて無くなっても困らないお金なら、投資ではなく、少しずつでも消費に回したほうが幸せになれるのではないでしょうか。

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2008年10月25日

『まぐれ  投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか』



副題に興味を引かれて読んでみたのですが、冗長かつ難解な本でした。

「投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか」の答は、人は単なる偶然で生まれた結果をありのままに受け取ることができずに、他の事象と何らかの因果関係があると思い込みやすい生き物だから、で済んでしまうと思います。それでは余りにもつまらないので話題を大きく膨らませてどんどん加筆していった結果こんなに分厚い本になったのかな、と感じました。

新作の『ブラック・スワン』の日本語版は、もっと読みやすい本に仕上がっていることを期待します。

印象に残った記述を引用しておきます。
どんな分野(戦争、政治、製薬、投資など)でも、結果で成績を測ることはできない、あり得た他の可能性(つまり、歴史が違った道をたどっていた場合)のコストで測るべきだ、というよくある話から始める。物事がたどったかもしれない他の道を、違った歴史と呼ぶ。明らかに、結果だけで判断の質を評価することはできない。でも、そんなことを口にするのは失敗した人だけだ(成功した人は自分の判断のおかげだと言う)。
違った歴史という考え方は明らかに直観に反しているけれど、面白いのはそれからだ。そもそも、私たちは確率論を理解できるようにはできていない。そのことはこの本で繰り返し説明する。とりあえず、脳を研究している人たちによると、私たちの脳には数学的な真理がほとんどわからない。とくに偶然の結果を検証するのはまったくダメだ。確率論で得られる結論はまったく直観に反している。
事象が起きた後に得られた情報を、事象が起きたときにわかっていたはずだと考え、その結果、事象が起きた当時の情報を過大に見積もってしまうことを、心理学者たちは後知恵バイアスと呼ぶ。「最初からわかっていたよ」というやつだ。
そして、偶然に気を取られすぎた人たちが、何度も苦しんだ挙句、精神的に疲れてしまって燃え尽きるのはなぜかもわかる。何と言おうと、苦しみは喜びで相殺できない(一部の心理学者によると、平均的な損失で人が感じる苦しみは、同じだけの利益で人が感じる喜びの2.5倍の衝撃力を持つ)。
経済学的な方法(カルロスの場合)にせよ、統計的な方法(ジョンの場合)にせよ、何かの方法で得た信念の正確さを過大に評価している。経済指標にもとづいてトレーディングをやって、これまで成功できたのは単なる偶然かもしれないし、もっと悪くすると経済学的な分析そのものが過去に起きたことに合うようにつくられてしまっているかもしれないとは、彼らは決して考えない。その結果、過去の出来事を左右した偶然の要素が見えなくなってしまう。
どっちがましだろう、1ドルの損を100回繰り返すのと一度に100ドルを損するのとでは?
明らかに後者だろう。一度に損する額が大きくなるにつれて、痛みはだんだん増えなくなる。だから、長い間にわたって1日1ドルずつ儲かり、突然それを一度に失う取引戦略は、経済的には筋が通らなくても快・不快で言えば実は快いのである。だから、それで儲かるというお話をでっち上げて、そんな戦略をとり続けるのだ。
私たちは物事がお互いに独立に起きるとは考えない。AとBの二つの事象を見ると、AがBを起こすか、BがAを起こすか、あるいはそれぞれが互いを起こすかのどれかを仮定してしまいがちだ。安易に因果関係を思い浮かべるというバイアスが私たちにはある。
 私の心と頭は一致しないから、トレーディングをするときは非合理的な判断をしないよう、本気で取り組まないといけない。つまり、損があらかじめ決めておいた限度に達しないかぎり、自分でパフォーマンスが見られないようにしておくのだ。チョコレートを食べるという行いについて、頭と食欲がばらばらだというのと変わらない。私が一般的にやっていることはと言えば、絶対にトレーディング・デスクにはチョコレートの箱を置かないということだ。


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2008年10月23日

45歳で1億円の資産運用

40代で早期リタイアしたフリーパパの投資日記: 暴落時の早期リタイアの心境とは?
という記事のコメントから引用させていただきます。
フリーパパさん。こんにちは。
 先日、メールさせていただいた45歳今年3月よりやむなく無収入フリーパパとなってしまった”おの”です。
 最近ひどく悩んでいます。少し前まではこの大下落に乗じてインデックス株式中心のアロケーションで生活費を捻出しつつ中長期投資を考えていたのですが、そうもいかないかもと思っています。
 投資暦3年、キャッシュ1億円、45歳で長期投資というよりは中期投資。どれも中途半端です。
 こういう場合フリーパパさんなら今からならどういうアロケーションをお考えになりますか?
 最近、高等遊民さんもすごく見させてもらっています。この場をお借りするのは恐縮ですが、出来れば高等遊民さんのご意見もいただければと思います。
よろしくお願いします。
2008/10/21 12:23 | おの #- URL [ 編集 ]
引用時に名前は訂正しておきました(笑)。お気になさらずに>おのさん

正直に申しますと、なかなか難しくて答えにくいご質問です。

その理由のひとつは、私から何か具体的なアロケーションを提案して、おのさんがその通りにすることを選んだ場合に、もし良くない結果になったら・・・・という気持ちです。もちろん、おのさんが私の意見を参考にするかどうかはご自分で決めることですから、その結果についても100%自己責任であるという原則は承知しています。しかし、普段は独り言のように無責任な記事を書いている私でも、誰か特定の人の人生を左右する可能性をイメージしたとたんに、心理的な抵抗を覚えるものです。えらそうなブログを書いているくせに、意外に小心者だなあと自分でも思いますね(笑)。

もうひとつの理由は、同じリタイア組の40代同士とは言っても、生活コストやリスク許容度、お金の価値観などの違いによって、資産運用の方法も違っていて当然で、45歳で1億円という条件のみで、このアロケーションが正解!と言えるようなものは存在しないからです。おのさんの生活コストもリスク許容度も不明ですし、株式インデックスへの投資を躊躇された理由の中にも、何か重要な情報が含まれているかもしれません。そういった情報が揃わないと、自分がおのさんと同じ立場に立った場合を想像することができないので、「自分ならこういうアロケーションにすると思いますね〜」ということは言い難いです。

答になってなくて申し訳ありませんが、このへんでご容赦ください。

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2008年10月22日

『お金の現実』



くどくどと書いてきたが、当初からまとまりの悪い仕上がりにしようと決めて書いたので、著者である私のねらい通りの仕上がりになったと思う。
と書いてある通り、要点がまとまってなくて、よくわからない本でした。

一冊の本というより、著者の経験談を徒然なるままに綴ったブログ記事の集まりのような、とでも表現すればいいのでしょうか。
でも、口では言えない「何か」がわかった気がしています。当然、それは勘違いかもしれません。でも。自分には口ではうまく言えない確信があります。そんな「口ではうまく言えない確信」をこの一冊の本に書いてみました。
その「何か」を他人に伝わるように表現するのが、本を書くということじゃないのかなと思うのです。

本書に多く見られるような、自分の中で確信した結論を書き並べるだけで、その客観的な理由や根拠はほとんど説明しないというスタイルには、占い師の占いと同様の胡散臭さを感じてしまいます。本書を読んでいて感じた違和感の根源は、ここにありそうです。

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2008年10月20日

『「ひきこもり国家」日本』



『70円で飛行機に乗る方法』が面白かったので、前著も読んでみました。

「グローバリゼーションってなに?」という人には一読の価値ありだと思います。

それ以外の人には、あまり目新しいことは書いてなくて退屈かもしれませんが、年間200日も世界を飛び回って見聞を広めた著者の言葉には説得力を感じました。
実際僕自身、各国の政府高官や国連職員、諜報活動に従事する人や、暗躍する投資家、大学教授からチンピラ同然の金貸し、ナイトクラブ経営者まで、本当に幅広く会って、直接話を聞く機会を得た。これは、実にラッキーでエキサイティングな体験だった。その一部を本書に書いたのではあるが、事実は小説より奇なりの、とても書けない話が8割以上なのである。
その8割のうち何割かを書いていただけたら、もう少し面白い本になっていただろうと思います。

本書の肝と思われる部分。
飛行機の誕生・普及を経て、柔軟な換金システムとインターネットを手に入れた今、世界のグローバル化は一気に加速し始めている。土地や領土によって規定され、自分を取り巻く社会の単位であった国の意義が薄らいで、地球という、より上位の社会に皆が自分を置き始めるようになってきたのだ。
このグローバル化された世界で、国内だけの格差を話し合うのは、まったく無意味な話だと言える。
目の前で起こっている事だけに意味を見出すのではなく、地球を周回する衛星のような視点を持つことが重要になってくる。

おまけ。
インドに旅行して人に道を尋ねれば99%間違っているし、カフェに行けばメニューが出てくるまで30分、料理が来るまで一時間、でもお会計は即座にくるというのがインドスタイルだ。


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2008年10月18日

『投資リッチの告白』



サラリーマンとして8年働いた後、起業家を経て、個人投資家(自称「リッチ投資家」)になった方の著書です。

2010年までに個人資産100億円の目標を達成予定と書いてあります。文字通り桁違いな金額なので、果たして普通の個人投資家の参考になる本なのだろうかと疑問に思いながら読みましたが、なかなか良いことが書いてありました。

たとえば、次のような意見には賛成です。
投資についての本当の知識とは、自分がどこまでリスクを許容できるかとか、どの程度のリターンを求めているのかを正しく知ることに尽きます。
ボクは講演会などで「失った時間はお金を積んでも取り戻すことはできない」という話をよくしますが、投資とはあくまで「幸せな人生を過ごすための道具=お金」を増やす手段であり、投資自体が人生の目的ではありません。
ボクは宝くじのことを「当たると3億円だよ 納税キャンペーン」と呼んでいます
 「未来を予測したがる経済評論家やアナリスト」の言っていることや書いていることの9割は、すでに起こったことの分析であり、後付けで理由を述べているだけです。
繰り返しますが、信用できるのは、

世界全体が経済成長している


ということだけです。
 飛行機に乗って窓から下を見れば、世界のどこにも国境はありません。そんなものは見えません。あるのは、あなたの頭の中にある世界地図の中だけです。
 だから、自由を求め、幸福を求め投資をするなら、国境なんか考えてはいけないのです。

その一方、これは違うだろうと感じた部分も少なくありませんでした。
もちろん、知人に投資家がいて親切にアドバイスしてくれるのが最高です。ですが、そういった知人がいなければ、その時は証券会社の営業マンを投資の先生にしてしまえばいいんです。
それは最悪の先生だと思います。
なんとなく「投資が怖い」と思う方が多いようです。しかし、本来、投資は楽しいもの。これは事実です。
私は投資が怖いわけではないけど、だからといって楽しいかというとそうでもなく、普通に退屈なものだと感じます。
「投資が怖い」と思う人は、おそらくリスク許容度がかなり低い人なので、そんな人に投資をお勧めしてはいけないと思います。
 株式売買において、損を一定の範囲内に収める「ストップロスオーダー」(損切り)は必須です。
 損が出る時に10%の損に抑えておいて、利益が出る時に20%、30%儲ければ、誰でもトータルで利益が出せるはずです。
言うは易しの典型で、こんな安直な方法で利益が出たとしても、それはただの偶然です。長期投資においては「損切り」をはじめとする小手先のテクニックは、むしろ有害であると考えます。

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2008年10月17日

『フリーズする脳』



脳神経外科専門医の著者が、高次脳機能外来で何千人ものボケていく脳を診てきた経験から、次のことを確信したそうです。
・「脳はボケるようにできている」
・「脳は環境によってつくられている」

現代社会には、年齢を問わず「ボケの予備軍」と言える状態にある人が増えているようで、本当に色々な職業の患者さんの事例が出てきます。

・商談の最中に不意に言葉が出なくなる、人前で話すのが怖くなった証券マン(32歳)
・よく知っているはずの名前が思い出せない、思考がちぎれていく大学教授(58歳)
・PCの前で頻繁に自失する、空回りし、疲弊していくシステムエンジニア(30歳)
・ネット依存的な生活を送っているうちに、物忘れが激しくなった総務部主任(42歳)
・会話の相手が複数になると、話しが聞き取れなくなる、頭に入らなくなる営業マン(29歳)
・転職先の企業で度々思考停止状態に陥るようになったエリートビジネスマン(31歳)
・文章が思い浮かばなくなり、偏執的に見直しを繰り返すフリーライター(37歳)
・上司になった途端、考える力が衰え、仕事ができなくなった元「優秀な部下」(31歳)
・すぐ感情に支配され、頭の中が真っ白になる、元「冷静なキャリアウーマン」(46歳)
・集中力が続かず、空白の時間が増えていく、「勝ち組」志向の司法浪人生(28歳)

若い人の事例が多いのは意外性を強調したいからかもしれませんが、普通に定年退職した60代の人の事例も一件ぐらいは知りたかったです。

リタイア組としてドキっとしたのは、司法浪人生の事例に出てきた次のような指摘です。
人がボケていくときの典型的なパターン
 会社を辞めたということは、やる気の発生源を消してしまっただけでなく、自分を歯車として回転させる環境を失ったことも意味しています。
(中略)
そのうちに意志的・計画的に行動する力が決定的に弱くなってしまい、一日中「好きな音楽を聴いたり、本を読んだり」して過ごすという、感情系の奴隷のような人になっていきます。
「一日中好きなことをして過ごす=感情系の奴隷」という定義だと、私にも当てはまってしまいます(汗)。自覚症状がなかっただけにショックです(苦笑)。

また、次のような指摘もリタイア組がボケないためのヒントになりそうです。
活動はマルチにしておかなければいけない
 脳を上手く使うには、活動をある程度マルチにしておくことが必要です。仕事と趣味を両方熱心にやってきた人が、仕事を辞めて趣味に専念できる環境をつくったら、その趣味に以前ほど魅力を感じなくなってしまったということがあるように、活動をシンプルにすると、その方向に向かうベクトルがどんどん小さくなってしまうということが起こります。
なぜ「仕事は忙しい人に頼め」なのか
(略)
 脳には「基本回転数」とでも呼ぶべきものがあります。単純に頭の回転の速さと解釈していただいてもかまいませんが、この基本回転数を決めているのは、基本的に本人の意志ではなく環境です。環境に忙しさがないと、基本回転数は上がらないと私は考えています。


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2008年10月15日

『「デタラメ思考」で幸せになる!』



『世逃げのすすめ』と内容がかなり重複しているので、どちらか一方を読めば十分です。どちらかと言えば本書のほうが仏教色が濃い感じですが、歯に衣着せぬ物言いは両書に共通で、好き嫌いがはっきり分かれそうです。

印象に残った部分をメモしておきます。
でも、忘れないでください。国家というものは、その本質においては「税金泥棒」なんだということを。
いいですか、人間は働きたくないのです。それが人間らしい欲望です。それが人間としてのまともな欲望だということがわからないから、われわれはエコノミック・アニマルになってしまうのです。
 人生は無意味━━━。そうです、私たちはここから出発しましょう。そうすると、本当の生き方が見えてくると思います。
 ━━━人生は「空(くう)」だ━━━
 と見るようにしましょう。「空」なる人生を、世間の人はあくせく、忙しく生きています。でも、われわれはそんな生き方をしないでもいいのです。もちろん、したってかまいませんよ。あくせく、いらいら、ガツガツと生きたい人は、どうぞそう生きてください。しかし、のんびり生きたい人はのんびり生きていいのです。そのことを知っておいてください。そうすると、もっともっと人生を楽に生きられます。
 わたしは、仏教の教えは、
 ━━━で・あ・い━━━
 の三文字だと思っています。(中略) 「デタラメ」「あきらめ」「いい加減」━━━これが仏教の三大原則です。
 あなたの周囲で、大勢の人が走っています。まるでどこかにゴールがあるかのように、何かを目指して一生懸命に駆けています。
 ですが、あなたはつられないでください。つられて駆け出してはいけません。
 走っている世間の人たちは、いわば競走馬です。彼らは、いったんはゴールに入るでしょうが、またあしたも、あさっても、新たなゴールを目指して走らねばならないのです。そして、走れなくなったら、お払い箱です。
 わたしたちは競走馬ではありません。人間です。ならば、人間らしく生きましょう。
 人間らしく生きるには、ゆったりとしたいい加減のペースで、人生の旅を続けることです。途中でいっぱい寄り道をしながら・・・・・・。


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2008年10月14日

貸株サービス利用中止

7月に「貸株サービス利用の準備中」という記事を書いた後、予定通りカブドットコム証券とSBI証券で貸株サービスを利用していましたが、早くも中止することにしました。

保有している株式を貸すということは、所有権という強力な権利が無担保債権という脆弱な権利に化けることを意味します。

証券会社という一企業の信用リスクを引き受けるにしては、高々0.5%程度の金利収入では、預金保険制度という担保付きの銀行預金でさえ同程度の金利が付くことと比較すれば、リスクプレミアムがなく割に合わないと思った次第です。

もちろんその背景には、今回の株安で証券会社が破綻するリスクが小さくないのではないか、という不安心理があることは否めません。

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2008年10月11日

『「残業ゼロ」の人生力』



自分の価値観とのシンクロ率が非常に高い内容でした。
仕事期に稼ぐ目標額を試算せよ
(略)
 それで、首尾よく60歳より前に目標額に達したなら、もう働くことはありません。絶対、早期退職をおすすめします。
 一年早く退職したら、一年分本生の日々が増えるのです。しかも、健康のうちに楽しめる。この一年は、あとでお金を出しても絶対に買えないのですから、当たり前のことですよ。
「健康」「幸福」「富」を準備する
(略)
つまり、日本人にとって人生は仕事のためにある━━━「life for work」なのです。
 だから、会社は精神修養の場だとか、仕事を通して自己実現するだとか、そういうおかしないい方が、平気でまかり通ってしまうのでしょう。
 しかし、これはどう考えてもおかしいと思いませんか。そもそも仕事というのは生活を支え、成り立たせるためにするものです。もっと極端ないい方をするなら、人はお金を稼ぐために働くのであって、仕事の意味はそれ以上でも以下でもありません。
 だから、正解は「life for work(働くために生きる)」ではなく「work for life(生きるために働く)」。
以上の考え方には100%同意します。
逆にこういう価値観を他人事のように感じるなら、ワーカホリックの疑いがあると思います。この本は、そういう人にこそ読んでもらいたい良書です。

少し残念なのは、著者は既に60歳で定年を迎えて、
これから先が、まさに私の人生の本番、つまり「本生」なのです。もう二度と仕事というバトルゲームに戻りたいとは思いません。
という意志を表明する一方で、実際には
突然、一切合財の仕事を辞めてしまうと、荷降ろし現象で死んでしまうかもしれないので、とりあえず個人事務所をつくって少しずつ仕事を減らしていく
という「ソフトランディング作戦」を実践している途中であり、まだ完全リタイアの経験がないことです。リタイア後の人生こそが「本生」であると主張しても、著者自身の経験に基づくものではないと知れば、説得力は半減してしまいます。

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2008年10月10日

『若者はなぜ正社員になれないのか』



タイトルに偽りあり。
自称無職、職歴なしの著者個人の就職活動日記にすぎません。

その就職活動自体あまり真剣ではない様子で、面接で珍妙な受け答えをしてみたり、自分の返事一つで採用が決まる状況になっても断ったりした挙句、最後は
「変わろうと行動した結果、僕は変わらない今を選んだ」
と、あっさり就職活動終了宣言するという矛盾に満ちた行動が綴られています。

この結末を承知の上で読めば、ネタとして普通に楽しめる本かもしれません。

ところで彼は既に3冊も本を書いているのですから、無職じゃなくて立派な文筆業ではないかと。タイトルのおかげでそこそこ売れているようですし、内容はともかくその文才は、26歳の若者のものとは思えない非凡さを感じさせます。

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2008年10月09日

ねんきん特別便

「特別」便なので他人事かと思ってたら来ました。

年金特別便1

どうやら、年金受給者と現役加入者全員に送っているみたいですね。ざっと9000万人以上が対象です。

加入記録の詳細は、だいぶ前にネットで参照可能になっており、既知の情報を重複して送っているだけの人がかなりいると思います。

私も加入歴に抜けが無いことはネットで確認済みでした。今回の特別便では、そういう人も含めて全員に返信を求めています。郵送コストだけでも100億円以上の税金が使われていることになります。総予算は何と378億円だそうです。

社会保険庁というところは、民間企業ではあり得ないような事務処理ミスが許されるだけでなく、そのミスによって生みだされた余分な仕事まで美味しく受注できるパラダイスのような職場なんですね。

そして、生産性の低いお役所仕事の典型が。

年金特別便2

おそらく現在人々の関心が最も高い情報だというのに、なぜ省略するのでしょうか・・・。電話や窓口に問い合わせが殺到していることでしょう。

ちなみに、厚生年金の標準報酬月額の記録は、前述の「年金個人情報提供サービス」を利用すれば簡単に知ることができます。情報強者の皆さんは、間違っても電話や窓口で問い合わせたりして税金の無駄遣いを助長することの無いようにお願いします。 

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2008年10月08日

『科学する麻雀』



膨大な実戦データに基づく統計学的手法によって、麻雀というゲームにおける科学的に正しいセオリーを解説する画期的な本です。

たとえば次のようなセオリーは、今まで常識と考えられてきたのに、科学的根拠のない誤りだそうです。
・リーチ宣言牌の周辺は危険
・裏スジは危険
・勢いがあるときはリーチが和了しやすい
・早いリーチは待ちが悪い

では科学的に正しいセオリーとはどんなものか? 
これについては後述するとして、別の意味で印象に残った記述を引用しておきます。
世の中には、「それは偶然である」という説明以上に正しい説明ができないものがいくらでも存在する。筆者が聞きたかったのは「それは偶然だ」「それは現段階ではわからない」という正直で正確な説明だった。
科学的、論理的に物事を捉えるというのは、まさにこういうことなのだと思います。
不調をいかに乗り越えるか
 麻雀を長く(数千試合)プレイしていると、本当に「ここまでついてないことが連続するものか・・・・・・」と実感することがある。

(中略)

 では不調をどう乗り越えるか。結論は、「冷静に、いつも通りの打ち方で、もくもくと試合をこなす」━━━これが、最善の合理的方法である。
「いつも通り打っていて勝てないのだから、いつもと違った打ち方を」と考えるのは浅はかで、「不調」どころか実力が低下する。そこで打ち方を変えることが正解であるなら、そもそも最初からその打ち方にしておけばよかったのだ。打ち方を変えてみたところで、「不調」からたまたま抜けるかどうかは完全に確率論上の偶然であり、まったく意味はない。(略)
不調を理由に打ち方を変更するのは完全に誤りである。
株式投資の世界でも、今こそ本当に「ここまでついてないことが・・・」と言いたくなるような「不調」な時期だと思いますが、それを理由に市場ポートフォリオの長期保有という「打ち方」を変更するのは合理的でないことと、まったく同じ考え方だと思いました。


<科学的に正しい麻雀のセオリー>
和了しやすさの違いにより、聴牌の形を次のように分類します。
良形聴牌: リャンメン以上、ノベタン、字牌シャンポン、字牌単騎
悪形聴牌: カンチャン、ペンチャン、字牌以外のシャンポン、単騎など

・良形聴牌の場合、稀な例外を除き、すべて即リーチ(手変わりを待つな)。
・悪形聴牌の場合、2ハン以下ならリーチ、それ以外はダマ。
・ドラによって得点が倍以上になるケースでは、ドラ待ちは正しい。
・他家のテンパイで自分もテンパイしたとき、和了しにくい安全策よりも和了しやすい危険策をとるべし。
・「絞り」は無用。
・他家テンパイ時に自分イーシャンテンのケースは大半が不利なので、基本的には攻めるべきではない。
・「攻めるなら最大限に攻め、守るなら最大限に守る」ように打つこと。
・当たり牌は読まない。牌の危険度表に基づいて淡々と切るべし。

読んでたら久しぶりに東風荘で打ちたくなりました。

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2008年10月07日

預金のインフレ抵抗力

PALCOMの海外投資塾: 預金はインフレに弱いのか?というテーマに便乗させていただいて、私の意見を述べます。

まず「預金」といっても、定期預金なら債券、普通預金やMRFなら流動性資産という資産クラスに分類され、両者のインフレ抵抗力はかなり違うような気がします。

結論から言うと、債券はインフレに弱くないが、流動性資産はインフレに弱いのではないかと思います。



この本の中に、資産クラス別の過去200年の実質リターンを表すグラフが出てきます。

長期リターンのグラフ

上から順に、株式、長期債券、短期債券、ゴールド、現金(ドル)です。

過去200年の資本主義の歴史を振り返れば、債券の実質リターンは概ねプラスだったと言って良いでしょう。株式の圧倒的なリターンと比べたらどうしても見劣りしますが。

逆に、現金の価値はインフレで激しく目減りしています。タンス預金など論外だということがよくわかります。普通預金やMRFは債券よりも現金に近いので、インフレ抵抗力が低いと考えます。

ゴールドの実質リターンはほぼゼロですが、インフレに負けているわけではないので、資産運用ではなく資産防衛の手段としては適切なのかもしれません。


債券ならインフレに負けないとわかれば、債券100%のポートフォリオを保有することは基本的に問題なさそうです。ただ、多額の資産を債券ではなく普通預金やMRFのまま長期保有すれば、インフレに負けることは覚悟しておくべきだと思います。

ところが、同じく上記の本に載っているグラフ(検索しても見当たらないため掲載しませんが後日追記するかもしれません)から、運用期間が30年にも達すると、10年程度の運用期間と比較して、株式100%のポートフォリオのリスクが大幅に縮小し、意外にも債券100%のポートフォリオよりもリスクが低くなることがわかっています。つまり、長期間使わないお金を、リスクが高くてリターンが低い債券100%のポートフォリオで運用する意味はないということです。

よって、予想される運用期間の長さに応じて、長期運用のための株式と中期〜短期運用のための債券を適度な割合で組み合わせたポートフォリオを保有することが、理にかなっているのではないかと考えています。

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2008年10月04日

安楽椅子探偵シリーズ第7弾

「綾辻行人・有栖川有栖からの挑戦状 安楽椅子探偵」第7弾の出題編、いよいよ放送 - GIGAZINE

この記事のおかげで見逃さずに済みました。

昨日の深夜に生で見て、今日録画でポーズかけながら見直しましたが、まだまだ謎は解けません。難しいけど面白い。このワクワク感がいいです。

過去の作品はDVDで出ています。第1回はこちら。



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2008年10月03日

『国債は買ってはいけない!』



『偽善エコロジー』の著者が書いた経済の本なんですが、この本はちょっとお勧めしがたいです。リンク貼っておいて言うのもなんですが。(笑)

いかにも過激な「えっ!?」と思わせるような持論で読者の興味を引こうとするやり方は、『偽善エコロジー』と似ています。たとえば、
・100万円の国債を買うと、最終的に205万円の赤字になる。
・時代の変化や加齢による生活レベルの上昇を加味した実質的な物価上昇率は、年率10%である。(だから、貯めておいたお金はすぐに腐る。)
・原油価格が200ドルになると日本の物価は10倍になる。
・年率14%のファンドがあるとすると、そのうちまともな利益は3%ぐらいであり、残りの利益は「もともと他人が受け取るべきお金をかすめ取った」ことになる。
・日本にはお金が余っているので、タヌキしか通らない道路を作るほうがドブに捨てるよりはましである。
・もし日本の会社がすべて無借金会社になったら、銀行は借り手を失い、庶民は預金というものができなくなる。

しかし、これだけ大げさな主張であるにもかかわらず、裏付けとなるデータは少ないしロジックも何だかテキトーな感じです。読めば読むほど頭の中に?マークが増えていきます。すんなり納得できたのは第5章のごく一部、株の話ぐらいです。

結論としては、経済の本に見せかけて実は道徳の本だった、という評価が妥当ではないかと。
・額に汗して稼ぐのが正しい。
・ファンドはいかがわしい商売である。
・投機は「どろぼう」と紙一重である。
・自分の損得は考えずに他人に献身すべきである。
というような、著者の道徳的価値観の記述が随所にちりばめられていて、うんざりしました。

久々に、読んで損したと思った一冊でした。

なお、日本社会に根強く残っていると思われる「額に汗して〜」的な価値観については、私は次のブログ記事と同意見ですのでリンクさせていただきます。
FIFTH EDITION: 「額に汗して働く人が報われる社会を!」の不思議

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2008年10月02日

人気記事ランキングの不具合

先日設置したばかりの人気記事ランキングというブログパーツですが、本日サーバーからの応答がなく、本ブログ全体の表示にまで支障をきたしていましたので、とりあえず削除しました。

不具合が出ている間にアクセスしていただいた皆様、申し訳ありませんでした。

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2008年10月01日

『70円で飛行機に乗る方法』



タイトルには騙されました。70円で飛行機に乗るための具体的な方法を解説する本ではありません。

実は、一見なんの脈絡もない『「ひきこもり国家」日本―なぜ日本はグローバル化の波に乗り遅れたのか (宝島社新書 238)』という本の続編だと知ったのは、「おわりに」まで読み進めたあとでしたが、にもかかわらず何故か爽快な読後感を覚えました。

世界ではLCC(ローコストキャリア)の台頭という航空大革命が起こっているのに、日本の航空業界は寡占による既得権益にしがみつくばかりで世界から取り残され、日本国政府のお粗末な空港行政のせいで、アジアのハブ空港の地位を韓国の仁川空港に奪われる始末。

本当に鎖国時代の日本を見ているような気持ちになります。
だから僕らは「個人開国」をしていこう
 最大のネックは日本脱出にある。宇宙へ飛び立とうとするロケットが重力の抵抗にあうように、僕らは日本から出るところが最大の難関だ。そこを抜ければ、いろいろなものがつながった世界へ行ける。
(中略)
 日本がオープンスカイ協定を受け入れようとしないのなら、まず僕らが進んでオープンスカイの世界に飛び出していくのだ。

 個人開国をする。

 その時がやってきたと、僕は日々実感している。
ということで、日本が開国しないのなら自分が外へ出て行くしかないと説きます。実に単純明快。

読み終えて気付いたのは、「人の移動」を「お金の移動」に、「航空業界」を「金融業界」に置き換えても、まったく同じことが言えるということです。
「海外送金コストが高いので、僕らのお金が日本から出るところが最大の難関。そこを抜ければ、いろいろなものに格安のコストで投資できる世界へ行ける。」

筆者の考え方に賛成です。

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