2018年01月15日

他人を巻き込んでいるのはどっち?

異邦人 (@Beriozka1917)さんのツイートより。
「保険会社に保険料を払っている人に保険給付をしなくても良い」という例え話で言いたかったことは、「国に税金を払っている人に生活保護を給付しなくても良い」ですかね。そういう主張なら確かにおかしいと言えますし、この文脈で「自分が(給付を)拒否するのは勝手だけど他人を巻き込むな」はその通りだと思います。

ところが、「生活保護制度を〜」と書いてある通り、受給者レベルの問題ではなく、税負担を強制する公営生活保護制度そのものが問題だと言っているとしたらどうでしょうか。自由主義者の主張は大体こっちです。

自分には生活保護(年金、健康保険に置き換えても同じ)を受給する権利は要らないからその費用を負担しない、という意思を持っている人に対しても、問答無用で負担を強制することが問題なのです。「給付を拒否するのは勝手だけど」と言っていた連中が、今度は同じ口で「負担を拒否するのは勝手ではない」と言って平気で他人を縛り付けます。そしてそれこそが「他人を巻き込む」行為であることに無自覚であるとしたら、輪をかけて恐ろしいと思います。

参考ツイート:


関連記事:
望月優大さんのブログより。自己責任を求める成功者たちにつ…
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自己責任というキーワードは何かと話題になりやすいようで、retire2kさんのブログにこんな意見がありました。 40代貯金2000万でセミリタイア : 今週の週刊東洋経済「あなたを待ち受ける貧困の罠」:「自己責任」というのは、自らリスクを取って行動を起こした時に、 そのリスクが実現した場合に使うべき言葉であって、 最低限の義務と…
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2018年01月10日

『専業主婦は2億円損をする』 橘玲(著)



無料だったので読んでみましたが、読まずに批判している人たちを黙らせるような内容ではありません。読めば批判がより具体的になるだけだと思います。

いつからか「生涯現役」を呪文のように唱える人になってしまった感のある橘玲氏ですが、本書はその呪文を女性向けに焼き直しただけの内容です。あとがきに書いてあるように、日本の若い女性の3割が専業主婦志向である現実が「ぜったいおかしい」と考える(この発想自体が全体主義的だと私は思いますが)編集者のオファーに乗っただけの企画で、ベースとなる文章は別の女性ライターが書き起こしたというのですから、つまらないのも当然でしょう。女性著者が専業主婦をディスるとただの僻みに思われて都合が悪いと考えた出版社が、橘氏の名義を借りただけのようにも見えます。
関連ツイート。


橘玲公式ブログの紹介記事より。
専業主婦は20代後半、あるいは30代前半でこの人的資本を放棄してしまいます。大卒女性の平均的な生涯収入は2億円ですから、彼女たちは(そして妻に専業主婦を望む夫たちも)2億円をドブに捨てていることになります。

やはりここですね、引っかかるのは。
専業主婦だけでなく早期リタイアの場合も、人的資本を放棄すると今後得られるはずの労働収入を「ドブに捨てる」ことになると表現していますが、違いますよね。彼らはその金銭と引き換えに、労働に消費されるはずだった多大な時間を獲得しています。言い換えれば、人的資本で時間を購入していることになります。ドブには捨てていません。

要するに、人的資本から得られる金銭と時間はトレードオフの関係にあり、時間を失うことなく金銭のみを獲得することはできません。人的資本のみが持つこの特性を完全スルーしている点が、橘玲氏が唱える人的資本論の致命的欠陥だと思います。

関連記事:
昨日の記事で紹介した『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』では、安定した給与収入を生み出す自分自身という人的資本を、1億円程度の現在価値をもつ「サラリーマン債券」とみなす考え方が出てきます。 確かに面白い考え方だとは思いますが、一晩考えた結果、私はこれは誤りであるとの結論に至りました。 なぜなら、金融資産として…
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2018年01月05日

もし資本主義が「崩壊」するとリタイア生活はどうなる?

内山さんのブログより。

この記事で引用されている榊原英資氏の本の内容は、私には理解するのが困難でした。16世紀のヨーロッパで経済成長が長期停滞した原因は農業の生産性が頭打ちになってしまったことだと述べる一方で、今後AIなどの技術革新で生産性が上がることについては、既存の世界を効率化するだけなので経済成長にはつながらない、って矛盾してません?

たとえ「経済のパイ」が大きくならなくても、既存の世界を効率化して生産性が上がると物価が下がって実質では豊かになるのが資本主義だと思うのですが…。経済のパイが右肩上がりに増え続けないと立ち行かなくなるのは資本主義ではなくて、その分け前をぶん取ることで成り立っている社会主義的な制度の方ではないでしょうか。

次の引用部分について。
その場合、タイミング売買など行わず、株式は保有し続けた方が結果として大きな利益をもたらすという、今までは多くの経済学者たちに支持されてきた論理はもはや通用しません。株を保有し続けても、評価額が大きく上下するだけで、実質的にはさっぱり増えていかなくなってしまうわけです。
持ち続けてもさっぱり増えていかないような株式市場において、持ち続けるのをやめてタイミング売買戦略に切り替えたとしてもリターンの期待値は上がりません。むしろ売買手数料の分だけ下がります。

もちろん、タイミング売買のリターンは市場平均を挟んで上にも下にも分散しますから、平均に勝つ投資家が存在することは否定しません。しかし、株価が右肩上がりのときにタイミング売買で市場平均に勝つ方法を知らなかった(故にバイ&ホールドを採用した)一人の個人投資家が、株価が低迷すると急にトレーダーの才能を開花させ継続的に市場平均をアウトパフォームするようになる、などという都合の良い事は起こりません。よって、株価がどうなろうと素直にそれまでの方針を継続するのが賢明だと思います。

世の中のほとんどの人は、「資本主義が崩壊なんてするわけがない」と決めつけているのかもしれない。
でも僕は、「この世に不変のものなんてあるわけがない」という思想をもっているので、「資本主義が不滅だなんて、逆にありえない」と考えている。

決めつけていると言うよりは、そうなったらどうしようもないと割り切っていると言いましょうか、私の場合。

その前に、そもそも資本主義の「崩壊」とは、具体的にどうなることなのでしょうか?

今後一切の経済成長が止まる(実質経済成長率が0%に張り付く)だけなら、それを「崩壊」と呼ぶのは大げさすぎやしませんか。ゼロ成長下でも株式会社が利益を生み出すことに変わりは無く、それに見合った株価を形成することでしょう。成長が止まった会社の株価は上昇しなくなるだけで、無価値になるわけではありません。たとえ株式投資の実質リターンが未来永劫0%、あるいは幾分マイナスになったとしても、資産の購買力が今後の人生の総コストを上回っている限り、リタイア生活は維持できます。

「崩壊」と言うからには、たとえば世界中に共産主義革命の嵐が吹き荒れ、資本主義の必須条件である私有財産権が国家によって剥奪された世界になるみたいな、ゲームのルールが根本から覆される出来事を想像していたのですが…。

そうなってしまったら最後、株式会社は廃止、国有化され、保有している株式ETFも無価値になることでしょう。従って、資産の購買力がそれなりに維持されることを前提としたリタイア生活も終わることになります。そうなる可能性もゼロではないだろうと言われると返す言葉が見つかりません。

そのようなリスクまで含めてヘッジしようとすると、それこそ橘玲氏が最近やたら強調している「生涯現役」以外に有効な手段は無いんじゃないですかね。彼が言うところの人的資本をドブに捨てる(という表現には違和感がありますけど)のが早期リタイアなのですから、その分だけ経済的リスクが高くなるのは仕方がないと思います。

従って、私は資本主義が「崩壊」するリスクには一切備えておりません。少なくとも私が死ぬまで(高々50年)の間に資本主義が崩壊することはない、という未来予想に賭けるギャンブルであることは自覚しています。

関連記事:
p.242 あなたのお金を狙っているのは、振り込め詐欺の犯罪者だけではない。 (中略) …
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