2010年01月30日

『知的幸福の技術―自由な人生のための40の物語』 その3

『知的幸福の技術―自由な人生のための40の物語』 その2 の続きです。

今回のテーマは年金。
10 退職までに一億円貯められますか?
 世の中には他人の不安をネタに商売している人がたくさんいる。恐怖に怯える人は、そこから逃れるために喜んでカネを払うからだ。
(中略)
年金だけを生活の支えにする人にとって、それを奪われることほど恐ろしいことはない。
 そこで、不安産業のセールスマンは言う。
 日本人の平均寿命はまだ延びています。医療費だって馬鹿にはなりません。将来のインフレも考えれば、安心して老後を過ごすには、少なくとも一億円の貯蓄が必要です。どうです? ちゃんと準備できていますか?
 もちろん、準備などできているはずはない。そこで業者の提案する高利回り商品にすがり、大損したり、有り金をすべて巻き上げられたりするのだ。
(中略)
 百万ドル(約一億円)の資産があれば、世界中のどの国でも富豪の仲間入りができる。日本はもうすぐ、ミリオネアでなければ生きていけない国になるらしい。
 人々がふたたび年金制度を信頼するまで、この荒唐無稽な法螺話が効力を失うことはないだろう。不安ビジネスの黄金時代はまだまだ続くのだ。
前回の生命保険の話とも重複しますが、自分自身の中に沸き起こってくる不安や恐怖という感情は、しばしば合理的な判断を妨げる厄介な存在であることを、正しく知っておく必要があります。そういう意味では、楽天主義と合理主義って実は相性がいい組み合わせなのかなという気がします。

11 対岸の火事で自分の家に水をかける人たち

サラリーマンの加入する厚生年金の場合、40歳以下の加入者は平均寿命まで生きても払った分を取り戻せない。
 厚生年金が割に合わない理由の一つは、所得のない配偶者(専業主婦)の保険料をタダにしているからだ。これでは独身や共働きのサラリーマンは、同僚の奥さんの保険料まで負担することになる。
 もう一つの理由は、基礎年金の赤字の補填に厚生年金の保険料が流用されているからだ。国民年金の赤字が拡大すると、厚生年金の比例報酬部分が減額される。未納者・未加入者の負担分をサラリーマンが肩代わりしているのだ。
 年金制度の矛盾は厚生年金に集中している。火事はここで起きている。だが住民であるサラリーマンは給料から問答無用で保険料を天引きされているため、避難することすらできない。
(中略)
 国民年金の場合、将来の保険料の引上げを考慮しても、支払った額以上の年金が戻ってくる可能性が高い。そのうえ保険料は全額、所得から控除され、受給時にも公的年金控除の適用が受けられる。いずれも民間の保険会社ではあり得ない大盤振る舞いだ。国民年金の保険料を支払うのは、経済的にはかなり合理的な選択なのだ。
 対岸の厚生年金で火の手が上がるのを見て、国民年金加入者は続々と逃げ出していく。これはかなり皮肉な光景ではないだろうか。
面白い喩え話でわかりやすいですね。
火中にいる人たち自身がまだ火事に気付かずに爆睡していたり、隣町から自ら火中に飛び込んでいく人がいたりするのも、皮肉な光景と言えるでしょう。
実は私も火事に気付いたのは隣町に転居した後だったりしますが(苦笑)、今後は対岸からじっくり見物したいと思います。こちらの町では家賃の一部または全部を国が払ってくれるので助かります。

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