2011年07月07日

『半値になっても儲かる「つみたて投資」』 星野 泰平 (著)



いろいろな投資系ブログで話題になっていたので読んでみた本です。

本書の「つみたて投資」とは、ドル・コスト平均法のことです。定額購入法とも言うらしいですが、いずれの用語も本書には出てきません。

まず、「半値になっても儲かる」というのは誤解を招きそうなタイトルです。
半値になるまでの値動きが「下がってから上がる」というV字型(レ字型)になっている場合にのみ利益が出る可能性がある、というだけのことなので。

また、半値になっても儲かる「つみたて投資」 【 カウンターゲーム 】で指摘されているように、「半値になっても儲かる」場合があるということは、「倍値になっても損する」場合もあるということです。p.52の上がってから下がって元値に戻るケースで損をするという説明から、このような可能性を類推できる読者なら問題ないのですが、初心者ならその可能性に気付かないかもしれません。

「儲かる・損する」というのは、一部の慣れている人を除いて、大きな「精神的ストレス」がかかるのです。
(中略)
相場の上下に一喜一憂しないで済む「ストレス抑制効果」は、通常の投資にはない、つみたて投資の大きな魅力です。
そもそも論になりますが、自分のお金をリスクに晒すことに慣れることができず、いつまでも「精神的ストレス」を感じるタイプの人は、投資には向いていないと思います。そういう人はつみたて投資ではなく、つみたて貯金で十分ではないでしょうか。

というのは、つみたて投資であっても20年、30年と続けていくうちに、それまでにコツコツ積み立ててきた自分のお金はすべてリスクに晒されているからです。その頃には相場が大きく下落すると、資産の評価額もガクッと下がるようになるはずです。そのたびに給料の何か月分、何年分が飛んでいったとかいちいち換算して悲しむようでは、投資は無理なんじゃないかと。

つみたて投資は一括投資に比べて、必ずしも投資効率がよいとは限りません。ただ、ストレスが少なく抜群の「安心感」があります。
言い換えれば、「安心感」を得るためには幾らかのコストがかかるということです。

ではそのコストはどの程度かというと、本書p.189のグラフが参考になります。1990年〜2010年のデータで検証した結果、アセットアロケーションごとに微妙な違いはありますが、一括投資のリターンはつみたて投資の約1.5〜2倍程度のようです。120万円の投資元本だとリターンに25万円〜45万円程度の差がつきます。目先の「安心感」を得るためのコストにしては、ずいぶん高いなと感じます。

一括投資も選択できる状況で「安心感」のためにわざわざつみたて投資を選択するのは、十分な蓄えがあるのに高額の生命保険に加入するようなもので、まったく経済合理性がない、というのが本書の検証結果から導かれた私の結論です。

老後に備えていくら貯めればいいのかについては、将来の年金減額も織り込んだ上で
3000万円あれば十分、少なくとも2000万円は準備しておいた方がよいと思います。
と述べています。
もっとたくさん必要だと言って不安を煽るFPなどもいる中で、地に足の着いた現実的な予測には好感が持てます。

第10章は著者自身の証券マンとしての体験記なのですが、非常にユニークで波乱万丈です。
ニスコ入社時には親類に借金までして自社株を大量に購入するなど、リスクの集中も甚だしく、予想通り
なんで、こんな会社の株を大量に買ってしまったのだろう……。
と嘆く結果になります。
投資家として最もやってはいけないことを教えてくれる貴重な体験記だと思いました。

参考記事:
半値になっても損しない投資法 :投資十八番(FC2時代)
半値になっても儲かる「つみたて投資」 ノマドライフ2.0  年収300万円からの資産形成/ウェブリブログ
のらブログ: 思考実験としてのつみたて投資
半値になっても儲かる「つみたて投資」 - インデックス投資日記@川崎
[ 半値になっても儲かる「積み立て投資」メモ ] by 矢向町のインデックス投資家

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