2017年05月27日

「あなたの人生におカネはいくら必要なのか」を決めるのはあなた自身

東洋経済オンラインの記事より。
ファイナンシャルプランナー(FP)の岩城みずほです。この連載では、おカネの問題と人生の問題について、…
toyokeizai.net
「おカネ」というものを、合理的に、シンプルに、心地よい方法で取り扱うことができると、人は、より自由に、幸せに生きていけるのではないでしょうか。
同意。

人生に、おカネはいったいいくら必要なのでしょうか(「今、すぐに知りたい!」という方は、この記事の最終ページで、空欄の数字を入力してみてください。
シンプルに考えるならば、年間支出額に自分の余命をかけるだけで計算できるはずですが、最終ページのフォームを見たところ、年間支出額を入力する欄がどこにも見当たらないんですよね。「現役時に使える生活費」や「老後の生活費」という欄がなんと出力側にあるだけです。

実はこのフォーム、「あなたの人生におカネはいくら必要なのか」を計算してくれる仕様にはなっていません。現在の手取り年収や将来の年金収入見込み、現役年数と老後年数などの入力パラメーターを元に「生涯収入」の方を先に推計し、その金額から毎年支出してもいい金額を逆算する仕様になっています。

確かに生涯収入の範囲内に収まるように毎年の支出を計画していくことは間違ってはいません。しかし、この記事のタイトルには大きな違和感があります。「いくら必要なのか」はどこにも示されておらず、「いくら使ってもいいのか」が示されているだけだからです。結局、「あなたの人生におカネはいくら必要なのか」を決めることができるのは、他人が考案した計算式などではなく、あなた自身しかいないということだと思います。

早期リタイア志向の人間からすると、生涯収入ではなくまず生涯支出の方を先に推計して、その金額を稼ぎ切るためにあと何年現役でいればいいかという方向で計画していく方が色々とスッキリします。

この記事に拍手する

人気ブログランキングへ
posted by 遊民 | Comment(0) | TrackBack(0) | 資産運用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月23日

資産を減らさず「少し増やす」方法?

週刊現代の記事より。
足踏みしていた日経平均がまた上がり始めた。欧州の地政学的リスクが去り、この相場はしばらく続きそうだ。資産を1割増やそう、というのは欲張りすぎ。少しだけなら確実に増やせる方法がある。
gendai.ismedia.jp
うーむ、これは酷い。

ここまで酷いと逆に反面教師としての利用価値が高そうですが、ツイッターの反応を見る限りでは否定的なコメントはまだ非常に少なく、悪影響の方が遥かに大きいみたいですね。トホホ…。

「普通預金がいちばん損!」などと煽ってますが、この記事で紹介しているようなリスク資産と銀行預金はそれぞれ取っているリスクの種類が異なるため、単純に損得を比較することはできません。損得を語るなら同じ種類の商品同士でコストやリターン/リスク比などを比較する以外にないと思います。

せっかく色々とボケてくれているので一応ツッコミを入れていくとしますか。

日経平均株価はついに2万円を突破する勢い。今後、「増やし方」を知っている人と知らない人では、どんどん差が開いてゆく。まさに「いま動かないで、いつ動く?」という絶好のチャンスが到来している。
株を買う理由の中でも「株価が上昇しているから」というのは最悪の部類に入ると思います。「いま動かないで、いつ動く?」なんて煽り文句に騙されず、こんなになるまで動かなかったのに今になって動く理由がどこにあるのか、じっくり考えたほうがいいでしょう。

投資に詳しい知人に聞いたところ、日本株のみで運用する投資信託で、パフォーマンスがいいと評判のひふみプラスと、米国株に連動する投資信託netWIN ゴールドマン・サックス・インターネット戦略ファンドをすすめられ、計1000万円の資金で昨年末に買いました。
本当に投資に詳しくて投資家の利益を第一に考えられる知人さんならば、こんな投信は絶対に勧めませんよ。前者の運用管理費用(信託報酬)は1.0584%、後者は2.052%です。平均1.5%とすると年間15万円ものコストを払っていることを自覚しているのでしょうか? さらに販売手数料も30万円ほど払っているはずです。

半年足らずで含み益が100万円だと喜んでいるようですが、手数料が安い投信を選んでいればそれが130万円だったかもしれないのに…。

老後資金確保のために、2倍、3倍の大勝ちでなくてもいいから、元本割れのリスクは回避し、何とか少しでも増やせないものか――。

絆アセットマネジメント社長の小沼正則氏は、近年そうした相談が急増しているとしたうえで、こうアドバイスする。
「元本割れのリスクは回避」するなら、銀行預金や個人向け国債以外の選択肢は無いのでは? 投資にフリーランチはなく、元本割れのリスクを取らないのであれば実質リターンは期待できない、という鉄則を淡々と伝えるのが正しいアドバイスというものでしょう。ところがどっこい、

例えば、インド株に連動するイーストスプリング・インド株式オープンなどが有望です。
販売手数料3.78%、運用管理費用1.92516%。こんな投信が「有望」とは…。

不動産関連で注目されている変わり種の投資法が、みんなで大家さんだ。

これは、一口100万円から全国各地の店舗やオフィスビルなどの「共同大家」になり、その賃貸利益から5〜7%程度の分配金を得るというもの。'07年の開始以来「一度も想定利回りを下回ったことがない」という超安定運用が売り文句である。

自分でマンションやアパートのオーナーにならずとも、不動産投資の「おいしいとこ取り」ができ、さらにリスクも小さいという密かな有望株だ。
そんなうまい話はない、これに尽きます。
本当にうまい話があるなら、いちいち個人投資家を募らなくても、運用先がなくて困っている銀行などの機関投資家が既に投資しているはずだからです。そして市場原理によって裁定が働き、うまみは消失してリスクに見合った期待リターンに落ち着きます。

「みんなで大家さん」の場合、リターンを過大に見せているか、リスクを過小に見せているかのどちらか(または両方)だと思われます。

投資に興味はあるけれど、虎の子の老後資産は傷つけたくない――そんな読者は、今回紹介した「減らさず、少し増やす」堅実な投資法を参考にしてほしい。
「減らさず」と言いつつ資産が減るリスクがあるもんばっかり紹介してるやないかい!(裏手で小突く)

ほとんど漫才のネタのような記事だと思いました。

この記事に拍手する

人気ブログランキングへ
posted by 遊民 | Comment(0) | TrackBack(0) | 資産運用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月16日

クローズアップ現代+「先行き不安病を斬る! わが家のマネー防衛」



先月放送された番組です。あの山崎元氏が登場すると聞いて見てみました。

VTRに登場する一般人がツッコミどころ満載なのは毎度お馴染みのNHKクオリティー。しかしスタジオに戻り、「間違った投資が多すぎる!」というテロップ付きで登場する山崎元さんのコメントはどれもこれも秀逸でした。短い発言時間の中でよく要所を押さえてます。

彼のような投資家サイドに立つ評論家がもっとメディアに露出するようになれば、日本の投資家の未来も明るいと思います。

この記事に拍手する

人気ブログランキングへ
posted by 遊民 | Comment(0) | TrackBack(0) | 資産運用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月25日

早期リタイアを目指してるのに実際には仕事を辞めないって、意味なくない?

ちゅり男さんのブログより。
こんにちは。 自分がブログをやり始めてから、必然的に他の人のブログを拝見する機会が増えました。 株式配当金やGoogle adsenseなどの収入だけで暮らす生き方を目指している方も結構いらっしゃるようですが、私には(チキンなので)怖くてとてもできません。 今日はその理由について考えてみたいと思います。
shinkei807.hatenablog.com
これはずいぶん奇妙なタイトルの記事が目に飛び込んできたぞと思いました。早期リタイアを目標にしてる人に向かって、仕事を辞めないことを勧めるなんて思いっきり矛盾してるような…。

私が根本的にチキン野郎であるという後ろ向きな理由以外に、人的資本という観点から考えると仕事を辞めるのは資産形成においてどう見ても不利な選択だからです。
なるほど。
「資産形成」の観点に絞るなら確かに不利です。
しかしながら、(早期)リタイアというライフスタイルは基本的にその「資産形成」を終えた人が選択するものであって、リタイアした後はもう資産形成の観点から物事を考える必要はなく、人生の残り時間とにらめっこしつつ資産防衛や資産消費のフェーズへと移行していくものだと思っています。関連記事:
前回の記事とよく似たことが書かれている記事がありました。 誠 Biz.ID:結果を出して定時に帰る時短仕事術:人生の前半では時間を売り、後半では時間を買う:年を重ねてアルバイトをやったり、就職して会社に入ると、少しずつ自分が管理できるお…
koutou-yumin.seesaa.net

既に十分な資産形成ができているにもかかわらず、資産形成期に必要だっただけの理由を持ってきていつまでも仕事を辞めないのは、経済的リスクばかりに目が行ってしまって大事な目標を見失ってしまう「悪い例」のような気がしてなりません。

関連記事:
昨日の記事で紹介した『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』では、安定した給与収入を生み出す自分自身という人的資本を、1億円程度の現在価値をもつ「サラリーマン債券」とみなす考え方が出てきます。 確かに面白い考え方だとは思いますが、一晩考えた結果、私はこれは誤りであるとの結論に至りました。 なぜなら、金融資産として…
koutou-yumin.seesaa.net


この記事に拍手する

人気ブログランキングへ
posted by 遊民 | Comment(1) | TrackBack(0) | 資産運用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月18日

名目賃金アップでインフレになると労働者は豊かになる? 貨幣錯覚について学べる教材

ツイッターを眺めていると、あるツイートが目に入ってきました。名目賃金と物価の両方がほぼ同じ倍率で上昇した世界の方が、(労働者にとって)かなりマシだと言っているようです。

いえ、そんなはずはありません。実質賃金は上がっていないので、控えめに言っても労働者の豊かさは変わりません。名目賃金上昇に伴う税コスト等の増加まで考慮すると、労働者は今より貧しくなります。既にcubさんやmotoさんが指摘されている通りですね。


元ツイートがリツイート回数1800超の人気を博している事実は、人々が「貨幣錯覚」から逃れることの難しさを物語っています。長い不況時代を過ごし、マスメディア等を通じて「デフレは悪」と刷り込まれてきた日本人には尚更その傾向が強いのかもしれません。
ja.wikipedia.org
人々が実質値ではなく名目値に基いて物事を判断してしまうこと。 本来、貨幣価値の変化を考慮した購買力によって判断しなければならない時に、金額を通じて判断を行なってしまうこと。


こんなツイートも500回以上リツイートされています。
その購買力がどう変化しているかを見ることなく、額面だけを見て800>430だから得だと判断する、これがまさに貨幣錯覚そのものです。

それぞれ手元に残ったお金であと何個ビッグマックを買えるか計算すればわかります。
前者:1.16個
後者:1.14個
手元に残るお金の購買力は増えていません。「どう見ても」と言いつつ見ているのは名目の数字のみで、実質で見ることを全くしていません。

貨幣錯覚は経済に疎い一部の人だけが陥る罠というわけではなく、人類の脳の奥深くに刻み込まれた認知の歪みであり、錯視と同じようなものです。一般人よりもお金の知識に富んでいるはずのFPの方でさえあっさりと貨幣錯覚にやられている例もあるので、この手の話が出てきたときは相当注意深く振る舞う必要がありそうです。

関連記事:
竹本さんのブログより。ゼロ金利!親より貧しい老後生活にな…
koutou-yumin.seesaa.net
Kotaroさんのブログより。 貯金を取り崩す生活は不安か
koutou-yumin.seesaa.net
とよぴ〜さんのブログより。 1年貯蓄・年7.388%だと…アラフォー世代が生まれた頃は投資を必要としなかったんや…
koutou-yumin.seesaa.net


この記事に拍手する

人気ブログランキングへ
posted by 遊民 | Comment(0) | TrackBack(0) | 資産運用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月29日

インデックス投資の面白さは節約の面白さに似ている

夢見る父さんさんのブログより。
 ちょっと前にインデックス投資家は投資家かみたいな話しがでて、個人的には何でもかまわないのだけど、インデックス投資は面白くないという結構ありがちな意見がでていました。僕の場合、インデックスに限らず投資の面白さというのが分かりません。  参加しました。下のボタンを励みのために押して頂ければ幸いです。...
yumemirutosan.blog.fc2.com
ちょっと前にインデックス投資家は投資家かみたいな話しがでて、個人的には何でもかまわないのだけど、インデックス投資は面白くないという結構ありがちな意見がでていました。
そういう話があったことを水瀬さんのブログで知って驚きました。投資家の定義については辞書に載っている通り、で終わる話だと思います。

他方、インデックス投資が「面白い」か否かというテーマなら、ひとそれぞれの嗜好や感性の違いによって答が分散するはずです。確かに、インデックス投資家自身も含めて「面白くない」と答える人が多数派になりそうですが。

用語の定義の問題と個人の嗜好の問題を混同するから、話が明後日の方向へ向かうのではないでしょうか。

僕の場合、インデックスに限らず投資の面白さというのが分かりません。
私の場合だと、そもそも投資は一定の目的を達成するための手段にすぎないので、面白いか否かという切り口で捉えたことが今までは無かった、というのが正直なところです。

この機会にインデックス投資の面白さについて初めて考えてみました。

私がインデックス投資を選択している最大の理由は、効率的市場仮説の下では他の投資家を出し抜いて市場平均を上回るリターンをあげ続けるのは難しく、仮にそれができたとしても割に合わないと思うからです。

たとえば学校の期末試験なら、時間をかけてしっかり勉強すれば学年平均以上の点数を取る可能性は非常に高くなりますし、遊び呆けて全く勉強していない人が平均点を取れるなんてことはまず起こりません。

ところが株式投資の場合は全く異なります。市場が非常に効率的で僅かな歪みしかないので、じっくり時間をかけて銘柄の取捨選択を行ってもそれに見合った期待リターンの上昇はないし、普段から遊び呆けている人でもインデックスファンドを買うだけで平均点を取れてしまいます。このような金融市場特有の法則を抜け目なく利用している点が、インデックス投資の面白さだと私は思います。

今では当たり前のように誰もが利用していますが、インデックスファンドは世紀の大発明です。「人生の限られた時間を投資に費やすことなく、ほんの僅かな信託報酬を払えば平均点が取れる」ことのありがたさは計り知れません。学生時代、試験勉強に毎度うんざりしていた(もっと遊びたかった)私からすると、夢のような「お得感」があります。超お買い得。今風に言うと、コスパ良すぎ。

このあたりの感覚は、節約術において効用を下げずにコストを下げる方法が見つかった時の面白さにも通じるものがあると思います。インデックス投資の場合は、効用(期待リターン)を下げることなく、時間や労力を大幅に節約できるのが魅力です。節約術の中でもこれほど効果の高い方法は他に見たことがありません。

この記事に拍手する

人気ブログランキングへ
posted by 遊民 | Comment(0) | TrackBack(0) | 資産運用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月26日

日経BPの記事「資産1億円ぽっちでリタイアする人の末路」が酷すぎる件

日経BPより。
「1億円程度の資産で引退すると苦境に立たされかねない」と指摘する専門家がいる。本当に安全に引退するには結局、いくらの資金が必要で、どのようなポートフォリオを組むべきなのか。
business.nikkeibp.co.jp
既に多くのブログで取り上げられている大人気の記事です。

それもそのはず、書いてあることがハチャメチャすぎて、ツッコミどころ満載だからです。私は日経BPの会員登録をしていないので2ページまでしか読めませんでしたが、もうそれだけでお腹いっぱい。

いきなり最初の質問で
「1億円程度では、余裕のあるアーリーリタイアは難しい」とのことですが、にわかには信じられません。まず、「仮に今、手元に1億円があり、そのカネを元手に投資商品を購入し、その分配金や配当だけで暮らせ」と言われたら、資産運用のプロとしてどういうポートフォリオを組むか、提示してもらえますか。
「分配金や配当だけで暮らせ」などという無理矢理な条件で縛り上げたポートフォリオの提示を要求していることからして、既に狂気の沙汰なんですが。手元に1億円あるなら、インカムゲインなど追求せずにそれを取り崩して暮らしたって全然構わないんですよ。この質問自体にツッコんでいる人はいなかった気がするので、一応ツッコんでおきます。

玉川:分かりました。まずは1億円のうち3000万円はVXXのショートに使います。
玉川:何もなければ、“理論的には確実”に価値は減衰し、価格は下落して行きます。
投資の世界で「確実」なんて言葉を使う人は、ものすごく怪しいと思います。
リーマンショック級の暴落が来れば恐怖指数は3倍に跳ね上がり、VXXショートなんて一瞬で溶けるのでは? 確率は低いものの、現にリスクを取っているのにどこが「理論的には確実」なのかさっぱり分かりません。

こんなハチャメチャな回答をする玉川陽介氏って一体何者なんでしょう。「手持ち200万円から始める! 低リスク・高利回りの不動産投資」
「勝者1%の超富裕層に学ぶ「海外投資」7つの方法」
「勝ち続ける個人投資家のニュースの読み方」

見るからに怪しいタイトルの著書が並んでいて、いかにもぶっ飛んだことを言いそうな人だろうなと、妙に納得してしまいました。投資のことをまだあまり知らない人がこういう本に手を出すと、その怪しさに気付かないかもしれず、大変危険です。

それから、早期リタイアやそれに必要な資産運用について学ぶなら、日経の記事なんかよりもそれらを実践している個人ブログが山ほどあるので、そちらを読む方がよほど有益です。前回とりあげた年金の記事もウソばっか書いてるし、日経の記事は信用に値しません。

この記事に拍手する

人気ブログランキングへ
posted by 遊民 | Comment(1) | TrackBack(0) | 資産運用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月15日

リタイア後に「安心」を追求する危険性

内藤忍公式ブログより。
「老後に安心できる生活をするためにはいくら必要?」というのはお金に関する定番の質問です。仮定を設定すれば必要額を機械的に計算できますが、そもそも資産を持っていれば安心という発想が間違えているのです。
(中略)
「何歳まで生きるか」というのは不確定ですから、いくらあれば安心かという「資産額」の議論には結論は無いのです。
「安心」という感情を基準にするならば、確かにこういう回答が正しいと言えます。しかしなぜ「安心」を基準に意思決定することが当然のような前提を置いているのか、そこに大きな疑問があります。「そもそも」論で言うなら、資産かキャッシュフローか以前に、まずそんな基準で本当にいいのかと考える事から出発する必要があるのではないかと。(後述)

私が知っているシニアの年金生活者は、国債を解約して中古ワンルームマンションを2戸購入しました。それまで国債から入ってくる金利は年間で2万円程度。それを不動産にした結果、キャッシュフローが入ってくる仕組みができ、毎月の手取りは16万円(年間約200万円)になりました。国債の100倍近いキャッシュフローが手に入るようになったのです。
こういう場合、目に見える手取り収入だけでなく、元本部分の価格や各種コストを全て合計したトータルリターンを比較しないと意味がありません。不動産の時価がいくらになっているのかを無視して、キャッシュフローの部分だけ取り出して2万円が200万円だから100倍!みたいな計算をする行為は、「心の会計」の典型であると思います。

ちなみに私もこの事例とよく似たワンルームマンションのオーナーを知っていますが、見かけ上の収入とみなされるキャッシュフローが多いので、国民健康保険・介護保険は毎年80万円以上払っているようです。キャッシュフローによって税金や社会保険料が跳ね上がるコストもきちんと加味しなければ、正しい比較はできません。

するとそれまでは、ひたすら節約生活をしていたのが、入ってくる家賃収入は使っても良いと考えるようになりました。
これもお金に色をつけて区別する行為であり、典型的な「心の会計」の罠に嵌っている人の考え方です。

リタイア後に毎月使っても良い金額が、資産運用の「トータルリターン」に比例して増えるのだ、と言っているならわかります。しかし、「キャッシュフロー」があればそれは全部使ってもいいが国債の元本部分に手を付けるのはダメ、みたいな区別はナンセンスです。

収入は緩やかに減っていくかもしれませんが、持っている預貯金と切り崩していく生活よりずっと安心感があります。
ここでもひたすら強調されているのは「安心」のみで、「安全」だとは一言も言っていないところがポイントです。

不動産投資とは、リスクを取ってトータルリターンを高めようとする行為です。国債を売って不動産を購入すれば、期待リターンは高くなりますが、ポートフォリオのリスクは上がり、資産の安全性は下がります。「安心」という感情を優先してキャッシュフローを獲得しに行った結果、皮肉にも「安全」が犠牲になっている事例だと言えます。

人間の脳に生じる安心、不安という感情は、必ずしも客観的な安全、危険と一致するものではなく、両者が無相関や逆相関になっている場合も少なくありません。

わかりやすい例を挙げると、「飛行機に乗るのは不安だけど、自分で車を運転すれば安心」というのがあり、実際の安全性とは逆になっています。これが脳のバグによって生じる不合理であることを知らなければ、危険な方を選んで安心するというおかしなことが起こります。

関連記事:
昨日の記事の続きです。
koutou-yumin.seesaa.net
本書の要約として最適な記述が後書きの中にあります。 ほんとうに、こういう生活は合理的なのか、理性的で文化的な…
koutou-yumin.seesaa.net
9.11のテロ後1年間、恐怖に駆られて移動手段を(より安全な)飛行機から(より危険な)車へシフトした米国人が増え、その結果命…
koutou-yumin.seesaa.net
Kotaroさんのブログより。 貯金を取り崩す生活は不安か
koutou-yumin.seesaa.net
NightWalkerさんのブログより。 アーリーリタイヤ…
koutou-yumin.seesaa.net


この記事に拍手する

人気ブログランキングへ
posted by 遊民 | Comment(1) | TrackBack(0) | 資産運用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月27日

早期リタイア・セミリタイアしたい人のお金の悩み相談 - 慎重すぎる人の例

1年以上前の記事ですがこんなのを見つけました。
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は5年後の完全リタイアを検討している50代の会社員男性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんが担当します。
allabout.co.jp
20151018zu1.GIF

私の独自基準であるACRを計算してみたところ、ACR=77と出ました。
つまり相談当時の45歳50歳時点で即リタイアした場合でも、資産が底をつくのは122歳127歳! しかも年金支給が0と仮定してこれです。5年待つまでもなく、即リタイア可能な状況と言えます。もっと言えば、5年前の40歳45歳時点でも十分に早期リタイア可能だった可能性が高いと思われます。

万が一、公的年金が受給できなかったとしても、65歳から90歳までの生活費は5000万円程度。少なくとも、手元にまだ1億1900万円残ることになります。
こんなにお金が余ってしまうことも勿論もったいないのですが、それ以上にもったいないのは時間ですね。即実行可能なリタイアをズルズルと先延ばしにして、5年や10年という多大な時間を失うことに何の喪失感もないのだろうかと、不思議で仕方がありません。

ご相談者は「かなりの心配性」とのことですが、資金的にこれだけ余裕があれば、早期リタイアを2020年からさらに前倒ししても、大丈夫です。
極めて正しいアドバイスだと思います。FPと言えば老後の経済的リスクばかり煽る人が大人気で目立っている印象ですが、こんなまともな人もいると知って少し安心しました。

投資スタンスについては、偏りを心配されていますが、私も同意見です。国内株式に90%投資しています。
私も同意見なのですが、このFPさんは株式から債券への分散を推奨しているだけなので、私からは国内だけでなく世界中の株式に分散することも付け加えておきます。

訂正:相談当時の年齢が50歳でした。55歳リタイアとかいくらなんでも遅すぎるだろうと、勝手に脳内補正してしまった(^_^;)
数字を訂正しておきます。

この記事に拍手する

人気ブログランキングへ
posted by 遊民 | Comment(0) | TrackBack(0) | 資産運用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月31日

2016年末の資産残高推移

年に一度の資産残高集計を済ませました。

資産残高推移2016.png

2016年の資産残高の変動は、JPYベース(青線)でマイナス1.7%、USDベース(赤線)でプラス1.1%となりました。株価も為替もそこそこ変動があったようですが、終わってみれば私の名目資産残高はほとんど変わらず。至って平穏な1年だったと言えるでしょう。最近は円安円安と騒がれているけど、1年前は1ドル120円だったので今年の方がまだ円高なんですよね。

年間支出は去年より11%増。明らかに資産過多の状態を解消すべく、財布の紐を緩め始めた結果だと思います。

リタイアした年である2007年からのデータを並べてみましょう。
2007年: +6.8%
2008年: -37.4%
2009年: +17.3%
2010年: -4.7% 年齢+ACR=77
2011年: -13.7% 年齢+ACR=76
2012年: +19.2% 年齢+ACR=89
2013年: +31.5% 年齢+ACR=106
2014年: +15.4% 年齢+ACR=120
2015年: -1.0% 年齢+ACR=126
2016年: -1.7% 年齢+ACR=118

ちなみに、私の余命をやや多めに40年と見積もった場合でも、人生の時間残高はこの1年で2.5%減少したことになります。お金が減るより速いペースで人生の残り時間が減少していることを実感せずにはいられません。

1年前の記事。
年に一度の残高集計の時期になりました。 去年の記事はこちら⇛2014年末の資産残高推移 今年の資産残高はJPYベース(青線)で−1.0%という結果になりました。 赤線はUSD換算した資産残高推移で、今年…
koutou-yumin.seesaa.net


この記事に拍手する

人気ブログランキングへ
posted by 遊民 | Comment(0) | TrackBack(0) | 資産運用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


ブログパーツ