2016年02月27日

付加年金の損益分岐点は2年、とは限らない

以前から、国民年金の付加年金について「2年で元が取れる」という内容のブログを見かけるたびに違和感がありました。最近だとこれとかこれとか。
セミリタイアと付加年金セミリタイアをするために仕事を辞めて副業やアルバイトと考える人は多いと思います。そこで、仕事を辞めると厚生年金から国民年金に切り替わるわけですが、セミリタイアに向け国民年金を免除する方は別ですが、国
semiritaia.net
老後のお金の心配は尽きないと思います。どんなにお金が有っても、それなりに心配かもしれません。そこで、アーリーリタイアしたら国民年金の付加保険料を支払えば、年金を増やすことができます。一ヶ月の付加保険料は、400円です。それに対する付加年金額は年間200円です。つまり、2年間で支払った分を回収できます。45歳でアーリーリタイアして、そのあと15年間付加年金保険料を支払うと保険料は400円×12ヶ月×1...
freefreefree2.blog.fc2.com
今回はこの結論に「ちょっと待った!」をかけるべく記事を書き始め、念のために日本年金機構公式サイトを見てみたところ…
付加保険料を納めた分は、2年間でモトが取れます!
そのものズバリの売り文句が書いてありました。(^_^;)
ブロガーさんのせいじゃありません。失礼しました。

公式サイトにも明記してある通り、付加年金は国民年金本体と違って物価スライド制ではなく定額制です。わかりやすくていい? 確かに、現時点での見込み額しかわからず、将来変動する可能性がある厚生年金や国民年金に比べ、支給額が「200円×付加保険料納付月数」に確定しているので、具体的な金額が簡単に計算できます。不確実性を嫌う人間の脳には大変心地よい設計になっているのでしょう。

しかしですよ、支払いから受け取りまでの年数が長い場合ほど、受け取り金額が確定している事は無視できないリスクになります。たとえば満額支払った場合に受け取れる40年後の年額96,000円の現在価値は、今後40年間のインフレ率によって変動するからです。インフレが進むなら40年後の96,000円の現在価値は96,000円より低くなりますし、逆にデフレなら高くなります。

つまり、「2年間でモトが取れます!」という売り文句はインフレリスクを完全無視して計算した机上の空論であり、受給までの年数が長い40代以下の世代の人にとっては、「そうなる可能性もある」程度の意味しかないと思います。敢えて加入するなら、インフレリスクはすべて加入者が負う事を理解しておく必要があるでしょう。

参考記事:
社労士の方に訊きます、付加年金って詐欺ですよね。国民年金法第43条44条に定める付加年金は、同法第27条(の一から五)の物価スライドが適用されない定額制なので、今の20歳から付加年金かけるとしても65歳時点の物価しだいでカスみたいな金額になりかねませんよね。国民年金法により徴収開始昭和61年4月の国民年金保険料は100円か150円で、たしか付加年金保険料は昭和45年10月から開始した制度で、当時は350円でしたよ...
detail.chiebukuro.yahoo.co.jp


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2016年02月23日

生涯現役は最弱の人生設計

橘玲公式サイトより。
週刊誌の記事なので長文ですが、既にツイッターで言及した通り、明確に突っ込みたいポイントが記事の最後の方に出てきます。
それに加えて、ここでは日本人の老後を人的資本から考えてみたい。
(中略)
老後問題の本質は、老後が長すぎることにある。だったら、不安をなくすには老後を短くすればいい。
(中略)
医療技術の進歩と健康志向の定着で、これからは100歳でも元気な老人が当たり前になってくる。そう考えれば、「定年後の悠々自適」は破滅への道だ。高齢化社会の最強の人生設計は、生涯現役(生涯共働き)以外にない。じゅうぶんな人的資本があれば、「国家破産」など恐れることはないのだ。
(中略)
すべての日本人が80歳を過ぎても「活躍」しつつづけることが、ゆたかな未来をつくっていくのだ。
橘さん独特の人的資本論は健在のようですが、「資産防衛術」という見出しからは想像もできなかった、まさかの「生涯現役」で記事が締めくくられているのには驚きました。

人的資本を金融資本と同列に扱う彼の持論には、7年前から一貫して違和感を持ち続けています。
関連記事:
昨日の記事で紹介した『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』では、安定した給与収入を生み出す自分自身という人的資本を、1億円程度の現在価値をもつ「サラリーマン債券」とみなす考え方が出てきます。 確かに面白い考え方だとは思いますが、一晩考えた結果、私はこれは誤りであるとの結論に至りました。 なぜなら、金融資産として…
koutou-yumin.seesaa.net
図書館で予約してから数ヶ月待ちでやっと回ってきました。 「はじめに」から引用。資…
koutou-yumin.seesaa.net
金融資本があてにならないなら人的資本を最大限活用して補完すればいいという理屈は、両者が同質のものだと思える人なら腑に落ちるのかもしれませんが…。

人的資本からリターンを得るためには、殖やしたくても殖やせない時間という有限なリソースを労働に注ぎ込む必要があるのだから、生涯現役という生き方は最強どころかむしろ最弱の人生設計じゃないでしょうか。生涯現役とは対極の、まったく働かずに金融資本だけで一生遊んで暮らす方こそ、人生の可処分時間が最大化された最強の人生設計だと思います。

それと、「老後が長すぎるので短くすればいい」についても違和感あり。
この記事では「老後」を「リタイア後」と同じ意味で使っているようです。生涯現役なら老後はどこかに消えて無くなるという理屈です。

しかし、人がいつリタイアするかと、人がいつ老いるかは別です。老いる前にリタイアする人もいれば、老いてもリタイアしない人もいます。リタイアを遅らせれば現役生活が延びてリタイア生活は短くなりますが、それとは無関係に肉体的・精神的な老いは容赦なく進行し、平等に「老後」を迎えます。生涯現役とは老後も働き続ける人生設計にすぎません。

老体に鞭打って働くことが最強ですか? そこまでして得られるものは何でしょうか。経済的に破綻する確率が限りなくゼロに近付くという安心感ですか? それはゼロリスク症候群という名の病気かもしれませんよ。

人生には経済的リスクだけではなく、時間的リスクもあります。人生の可処分時間が足りなくなるリスクを度外視して、経済的リスクだけをゼロに近付けようとする戦略で本当にいいのでしょうか。
関連記事:
これは「働き方」の本だから無職の私にはもう関係なさそうかな、と想像してましたが、読んでみたら共…
koutou-yumin.seesaa.net
前回の記事、リタイアに型というものがあるならばに次のようなコメントがありました:人間には寿命があるのですが、その寿命がいつ尽きるのかは誰にも分からないのが問題なのでしょう。 自分はいつ死ぬか分からない。 しかし、資産は確実に減っていく。 寿命が尽きる前に資産が尽きてしまったら、その時点で生きていけなくなる。
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2016年02月11日

低金利だと老後は貧しくなるのか?

竹本さんのブログより。
(最近の「週刊誌の見出し」も「書籍のタイトル」も、こんな表題の付け方が流行ってますね〜。   → マネてみた(^_^;) ) ============================ ゼロ金利にマイナス金利!
tak-tak-world.txt-nifty.com
以下の具体的な数字で、是非、感覚をつかんでください。
『 定年時に、貯金が3000万円ありました。
   今後、毎月10万円、すなわち年120万円取り崩します。』
 このときに、貯金は何年持つでしょうか?
ふむふむ。
定年退職だけでなく、早期リタイアにも応用できそうな試算ではありますが…。

さて、貯金金利! 3000万円を年120万円ずつ取り崩すと、
 3%時代は、約45年間、保ちます! 
 0%時代は、約25年間です!    
つまり、(親と自分が、同じような貯金と生活であったなら)
  親より20年早く、貯金が底をつくっ!!
  20年ですよっ、20年!
ここで言う「貯金金利」とは名目金利ですよね。

貯金金利0%時代はともかく、3%時代のインフレ率も0%だったのでしょうか? もしインフレ率が0%より高いのならば、取り崩す金額が「年120万円ずつ」のまま変わらないというのはおかしくないでしょうか…。

名目金利の差が3%で20年も違いが生じるなんて結果は、名目金利に関わらずインフレ率が常に0%に張り付いているケース、すなわち常に名目金利=実質金利であるという前提がなければ成り立ちません。これは余りにも非現実的な話です。

では実際はどうだったか。内閣府のサイトに過去60年の名目金利と実質金利のグラフがあります。
cz0303.gif

このグラフを見ると、過去の高金利時代では名目金利と実質金利がほぼ一致している時期のほうが例外と言えるんじゃないでしょうか。というかむしろ逆に、高金利時代ほど実質金利は下方に乖離している傾向が見て取れます。

実質金利は、1974年あたりの例外を除けば、名目金利の高低に関わらず常に0%近辺を行ったり来たりしているように見えます。名目金利とインフレ率には高い相関関係があり、高金利はインフレで相殺されるという理論通りの結果になっていると思います。

 こんな計算をするまでもなく、3000万円の貯金があって、6%の利息なら、これだけで180万円なんですよ♪ 年金額がこれくらいっていう人も多いと思います。だから昔はこの利息だけで、孫へのお祝いも食事代も賄えたのです。簡単なリフォームも軽自動車も買えたのです。
 >>毎年毎年、利息だけで。。。。

 だから低金利の今は、貯金を取り崩さざるを得ない、それも、上手く取り崩さなくっちゃ、豊かな老後がやってこない!
これ、よくある錯覚ですよね。
元本の額面が減っていなくてもその購買力は目減りしています。
人間の脳には、利息や配当などのインカムゲインを元本とは別の特別な収入だと思い込む奇妙な癖(メンタルアカウンティング)があることが知られています。この錯覚を意識して修正できるように訓練しておかないと、思わぬ罠にハマるおそれがあります。
関連記事:
Kotaroさんのブログより。 貯金を取り崩す生活は不安か | SOUTAi 40代で早期退職:確かに、金利の一部だけを消費して生活できたら、元本は減らない。でも元本はいつ使うの?とわたしは思ってしまう。死んだ時に元本を丸々使わずに残ってしまう。こちらのほうがもったいないし残念だと思う。イチゴケーキを買ったのにイチゴを食べずに死んでしまう…
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2016年01月13日

早期リタイアの資金計画に年金を含めない理由

昨年セミリタイアを達成されたNightWalkerさんのブログにこんな記事がありました。

リタイヤの資金計画はどういう順番で考えるべきか?: NightWalker's Investment Blog
アーリーリタイヤするためには、当たり前ですが、お金が必要です。
その資金計画で、たまに、
 公的年金の計画がない人
がいます。
ハイ、私もその一人です。

私の場合、セミリタイヤを決断するに当たって、次の優先順位で資金の見通しを立てました。
(1)公的年金(もちろん夫婦合わせて)
(2)企業年金、確定拠出年金
(3)退職金
(4)金融資産
(5)収入の手段(家族としての収入はゼロになるわけではない)
(6)資産運用
(7)不動産(自宅です)
(8)相続
年金の優先順位は高いです。そして、資産運用の優先順位は低いです(^^;)。
す、凄いたくさんありますね…。

私の場合に当てはめるとこうなります。
(1)金融資産
(2)資産運用
す、少なっ!(^_^;)
リタイアを決断するにあたって、これ以外の要素は計算に入れていません。

それはなぜかと言われれば、あるかどうかも予測できないとか(相続)、あっても微々たる金額なので大勢に影響がないとか(退職金、企業年金)、不確実すぎて予測が立たないとか(公的年金)、ですかね〜。計算や予測が面倒な割に、得られる効用がほとんど無いような気がしています。

私も資産運用の優先順位が低いのは同じですね。ただし、手持ちの金融資産こそがリタイア生活を支える根幹であるという位置付けにおいては、金融資産の購買力を維持することを目的とした資産運用は枝葉に過ぎないという意味であって、それ以外の何かが資産運用よりも上位に来るわけではありません。

公的年金の位置付けは、NightWalkerさんと私では180度違うようです。
私見ですが、政府は「ありとあらゆる手」を打って公的年金制度を存続させようとすると思ってます。まあ、あたりまえ。
私にはこれが全然「あたりまえ」とは思えないんですよね。今のところは。

現行の公的年金制度は、早期リタイアの時点であてにできるほど長期安定なシステムであるとは言いがたいと思います。マイナンバー制度も始まったことですし、一定額以上の資産を持っていると受給できないようにするとか、改悪に次ぐ改悪で現行制度とは別物に変貌するリスクもあります。政府が思いつく「ありとあらゆる手」の犠牲者の中に自分も含まれるならば、年金支給を受けられたとしても税負担などで可処分所得は一向に増えないかもしれません。

そんな得体の知れないものに依存するリスクはとりあえず避けておこう、というのが私の考えです。

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2015年12月31日

2015年末の資産残高推移

年に一度の残高集計の時期になりました。
去年の記事はこちら⇛2014年末の資産残高推移

asset-graph-2015.png

今年の資産残高はJPYベース(青線)で−1.0%という結果になりました。
赤線はUSD換算した資産残高推移で、今年は−1.9%でした。

年間支出の方は去年より8%も減少。特に節約に励んだつもりは無いので、どうしてこうなったかというと、この記事で触れたように、支出のマイナス入力をするようになったからだと思います。

リタイアした年である2007年からのデータを並べてみましょう。
2007年: +6.8%
2008年: -37.4%
2009年: +17.3%
2010年: -4.7% 年齢+ACR=77
2011年: -13.7% 年齢+ACR=76
2012年: +19.2% 年齢+ACR=89
2013年: +31.5% 年齢+ACR=106
2014年: +15.4% 年齢+ACR=120
2015年: -1.0% 年齢+ACR=126

3年連続で名目資産プラスというボーナスステージが終わり、平常運転に戻りつつある感じですね。それでもまだ、想定していた資産減少率からすると上振れしていることになりますが。

余命の割に資産過多の状態になっていることは明らかです。そろそろ如何にして財布の紐を緩めていくかを考える時期に来ているのかもしれません。

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2015年09月18日

30代早期リタイアのために「全力リスク運用」は必要か?

さいもんさんのブログより。
超早期リタイアなら全力リスク運用が基本│ひとり配当金生活
30歳代での超早期リタイアを目指すなら資産運用は全力でリスクを取るのが基本です。
30代と言っても30歳と39歳ではだいぶ違いますね。
私のイメージでは30歳ならまだ超を付けてもいいけど、35歳を超えてくると怪しくなってきて、39歳だったら普通の早期リタイアだと思います。
ついでに、50代に入ってからだともう「早期」ですらないような気が。それぐらい人生は短く若い時間は貴重なんです。おっと話が逸れました。

最初に記事のタイトルを拝見したときは、
全力リスク運用=リスク資産100%のポートフォリオを持つ
という意味かなと思いました。

それならわかります。本人のリスク許容度次第では無謀な選択にもなり得るものの、39歳で早期リタイアを狙うなら呑気に無リスク資産なんか組み入れている場合ではないだろうと。
因みに現代ポートフォリオ理論では、リターンとリスクの調整はリスク資産(市場ポートフォリオ)と無リスク資産の比率を変えることで行います。期待リターンを最大化するには、それを100:0にすればいいだけです。

ところが、さいもんさんの記事の中身を読んでいくと、どうも全然違ってました(汗
その結果資産を失ったらどうするか?どうするも何も、また金を貯めて最初からやり直すしか無いのですが、
株式投資で成功した人の多くは一回は全財産を失うような経験をしています。
こんな物騒な話が次々と出てくるではありませんか…。
さいもんさんが言うところの「全力リスク運用」とは、全財産を失うリスクを取るという意味のようです。これには驚きを隠せません。

ただしわずかでも成功の確率を高めたのは、資産10倍増を最初から狙っていたのが大きいと思います。
資産10倍増とかサラリと書かれてますが、プラス900%です。これを何年間で? 10年かけていいのだとしても年平均25%です。正直、狙って取れるようなリターンじゃないと思います。

おそらく、さいもんさんのイメージする「超早期リタイア」達成や「株式投資で成功」の基準が、私に比べて遥かに高いレベルなんでしょう。目標とする資産額もリタイア後の支出レベルも。

なぜ全財産を失うリスクを冒してまで超ハイリターンを狙う動機があるのでしょうか。隠れた前提として、収入と支出の差額によって自動的に積み上がっていく資産よりも遥かに速いスピードで資産を増やしていかないと目標に到達しない、という事情があるのではないかと推察します。目標が身の丈に合っていないという意味でもあり、逆に言えば、目標の割に収入が少なすぎるand/or支出が多すぎるという意味でもあります。

因みに私の独自基準では、現在何歳であってもACRが平均余命を上回っていればリタイア可能です。極端な話、まだ30歳でも支出が寝太郎さんレベルなら1300万円で足りる計算になります。超早期リタイアだからと言って必ずしも莫大な資産が必要とは限らず、すべては本人の支出レベル次第なのです。30代でのリタイアを狙うなら、投資で一山当てるという発想よりも、支出レベルを下げる方がより確実な効果が期待できると思います。
関連記事:
『年収200万円からの貯金生活宣言』
分散投資で早期リタイアは不可能?

なんか既視感があると思ったら、こんなのもありましたね。
貧乏人はリスクを取らなければ金持ちになれない | 日刊SPA!
分散投資を考えるのは、1000万を超えてからの話。玉砕覚悟で資産10倍、20倍増を狙う姿勢が大切です。元手が無くなったらまた貯めて出直せばいいんです
いやいや、そんな無茶な。
この理屈だと、玉砕覚悟で全財産で宝くじを買うことだって正当化されません? 10倍20倍どころか、1本当たれば即3億円ですよ。

金持ちになる可能性が有るか無いかという二分法で単純思考してしまうと、このようにリスクや期待値を度外視したおかしな結論になることが多いと思います。

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2015年06月09日

住居の所有と賃貸の損得

最近、自分が住むための家は買う方が得か、それとも借りる方が得かについて考察する記事をよく見かけます。

「持家」と「賃貸」を比べると「持家」が得に決まってるよね。: 人は株のみで食べていけるか?
持ち家と賃貸、どちらが得か? | 自由になりたくて47歳で会社を辞めたらこうなった
「賃貸で一生家賃を払い続けても手元に何も残らない」は本当か? | Step to Next Life
賃貸と持ち家の生涯コストは同じはウソらしい | セミリタイア資金3000万を目指すブログ
2年毎に引っ越している私の賃貸 VS 持ち家への考え方。 | フクリの海外ETF長期投資ブログ

買うにしても借りるにしても、寝太郎さんが言うところの「超高級家屋」しかないのが、オーバースペックな国ニッポンの特徴ですからね。(関連記事: 『Bライフ―10万円で家を建てて生活する』 高村 友也 (著)
衣食住の中でも最も厄介なコストであることは確かです。結果的に生涯生活コストの多くを占めることになるので、特に早期リタイア志向の若い人にとっては、一体どちらが得なのかは気になるところでしょう。

私の場合は、早期リタイアなんてまだ眼中になかった20代の頃、今から思えば「何も考えてない」レベルの直感で35年ローンを組んでマンションを購入するという勇ましい行動に…。その後ローンは10年足らずで完済できたから良かったものの、マンションの価格は順調に右肩下がり。これまでのローン金利+含み損+固定資産税+管理費などの総コストを計算してみると、賃貸に住み続けていた場合と同程度になります。

しかし自分の場合はこうだったという過去のデータはただの結果論に過ぎないので、「所有も賃貸も結局損得は変わらない」などと結論付けるつもりはありません。

所有にも賃貸にも、それぞれ固有のリスクがあります。たとえば所有の場合は大地震や大津波などの災害リスク、賃貸の場合はインフレリスクなど。
所有と賃貸ではそれぞれどういう種類のリスクを負担するかが異なるだけで、どちらか一方を選びさえすればあとは何が起こっても安心、などということはありません。

損得についても、未来に発生する事象は予測できない以上、最終的にどちらが得になるかは「わからない」としか言えないでしょう。早期リタイアを目指す場合でも、それぞれのリスクとメリットを理解した上で、自分に合っていると思う方を選択すれば良いと思います。

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2015年05月20日

定期預金はインフレ対策になるか?

Kotaroさんのブログより。
インフレになって、「預金金利<物価上昇率」となると預金の元本が目減りする。だから「貯蓄から投資へ」といのは早計だ。
soutai40.com
インフレ対策として「1年ものの定期預金」はアリだと思う。
私も7年前に書いた記事では、それに近い考えでした。(関連記事: 預金のインフレ抵抗力
しかし最近は、定期預金を含む銀行預金を持つことが「インフレ対策」になるとは思っていません。

2015年5月現在は、アベノミクスの金融緩和で金利が低く抑えられているが、
ここ、預金がインフレ対策になるかどうか考える上では見逃せないポイントです。

銀行預金がインフレ対策として機能するためには、インフレ率が上がるとそれに追従して預金の金利も上昇しなければなりません。インフレ率が上昇しているのに預金金利が一向に上がらない現在のような状況だと、定期預金の実質金利はマイナスになります。

参考記事: 
預金と物価の関係です。 何度も書いているので、飽きちゃった方がいたらゴメンナサイ。 ここ数年分の預金利息と消費者物価をグラフにしました。 出典は、  ●日本銀行の統計データ検索より、   預金金利、 1年定期(1000万円以上と300万円未満)        10年定期(  〃      〃    )         普通預金、 それぞれの平均利息  ●総務省 統計局の 消費者物価指数より ====== 利息は、6年前の10年定期であっても1%もありませんね。最近はもう限りな...
tak-tak-world.txt-nifty.com


現在の実質マイナス金利は一時的な状況で、まもなく名目金利がインフレ率に追い付いてくるのでしょうか?
もしアベノミクスに「金融抑圧」という意図があるのだとすれば、そうとも言えないと思います。

参考記事: 
「資産運用では株価だけではなく為替も考慮しよう」において、金融抑圧について言及しました。詳細について質問がありました。個人の資産運用においても重要な問題です。金
matsunosuke.jp


この記事にあるように、金融抑圧を伴うインフレはスローモーションの国債デフォルトを可能にします。天文学的な借金を抱える日本政府が歳出削減にも増税にも行き詰まったとき、表面的には波風が立たない金融抑圧政策でじわじわ借金を減らしていこうと目論むのは、ごく自然なシナリオだと思います。年金給付もマクロ経済スライドで削減できるし、まさに一石二鳥。

そうすると、定期預金で長期運用した結果、30年かけて購買力が半分になっちゃいました〜、なんてことも普通にあり得る話ではないかと。30年でマイナス50%のリターンというのは、年率わずかマイナス2.3%で達成(と言うのも変ですが)可能な数字です。ゆでガエル作成のようなゆったりとした目減りなので、預金保有者が「大打撃」と認識するまでには長い時間がかかるはずです。

私はこのような思考経路を辿った結果、定期預金はインフレ対策としては「ナシ」という結論に至りました。

ただし、定期預金が毎月分配型投信のように何の役にも立たない金融商品だと言っているわけではありませんので念の為。わずかばかりのインフレリスクを負う覚悟さえできているなら、悪くはない選択だと思います。

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2015年04月27日

早期リタイア後もインデックス運用を継続中

さいもんさんのブログより。
早期リタイア達成者がインデックス投資を続ける危険性│ひとり配当金生活
例えば積み立て型のインデックス投資家が資産形成に成功して早期リタイア達成したとして、その後もインデックス投資を続けるのは怖くないのかな?という疑問があります。
私の資産運用方針がまさにこのパターンに該当するので、私なりの回答を。

答が「怖い」「怖くない」の二択であれば「怖い」です。
しかし、どんな運用方針であれリスクを負担しているのであれば怖いのは当たり前で、その漠然とした感情を根拠に運用方法を変えるようなことはしません。

さいもんさんの素朴な疑問の裏には、「リタイア後にはリタイア後に相応しい資産運用の仕方があり、それはインデックス運用ではない」という考えを暗に含んでいるように感じられます。
だとすれば、それは一体どんな運用方法なのでしょうか? さいもんさん自身が実践している高配当日本株のホールドがそれに該当するというのであれば、世界市場でのインデックス運用よりも優れている根拠を示して欲しいと思います。

実際にセミリタイア生活に突入している私にとって、机上の理論も大事ですが実践面は何よりも大事です。
数十年後に、理論的には正しかったけど実際は駄目だったわ、では洒落になりません。
どんな運用方法を採用するにせよ、数十年後の運用結果がどうなっているかは「わからない」としか言えません。実践面が大事とは言っても予め未来の事象を知るすべは無い以上、理論的に正しいことに賭けるのが最も合理的な選択だと私は思います。

理論上正しい選択をしても「実際は駄目だったわ」に終わったらどうするのか? その駄目な結果に合わせて生き方を下方修正していくだけのことです。
関連記事:老後不安をどう考えるか

もし駄目だったら「洒落にならない」と感じてしまうほど経済的リスクに敏感すぎる人は、単にその運用方法が自分のリスク許容度をオーバーしているだけのことなので、ポートフォリオを見直すなどしてリスクを下げればよいのです。人によっては個人向け国債や定期預金のみの運用が最適という場合もあるでしょう。それでも決してノーリスクという訳にはいきませんが。

ただ人間の寿命には限りがあるので、20年くらい低迷期が続くとかなり苦しくなります。
今までがまさに失われた20年でしたよね?
失われた20年って日本市場という、時価総額にして世界の10%にも満たない市場での出来事ですよね。
もし1995年からの20年間を世界市場ポートフォリオでインデックス運用していたら、理論通りの素晴らしい結果になっていたのでは?

しかしセミリタイア達成後に、相場がグダグダになった時にそれまで単純な積み立て投資しかしてこなかった人が戦略を維持できるのかな?という疑問があります。なんせもう継続的な追加投資は難しいのですから。
リタイア達成からわずか1年後にリーマン・ショックの洗礼を受けた私が、リタイア後も資産を取り崩しながらインデックス運用を継続しているサンプルです。暴落時に追加投資なんて必要ありませんでした。ただじっとしていれば嵐は過ぎ去り、資産残高は力強く回復しました。
関連記事: 2014年末の資産残高推移

逆に、インデックス運用で暴落に耐えられないのだとすれば、一体どんな運用なら耐えられるのかなと思います。そんな魔法のような方法があるなら私も知りたいです。

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2014年12月31日

2014年末の資産残高推移

一年前の記事。
2013年末の資産残高推移

今年の資産残高は+15.4%という結果になりました。
年間支出の方は5%ほど減少。消費税増税や円安インフレで体感的には支出増の一年だったのですが、やや意外な結果となりました。

リタイアした年である2007年からのデータを並べてみましょう。
2007年: +6.8%
2008年: -37.4%
2009年: +17.3%
2010年: -4.7% 年齢+ACR=77
2011年: -13.7% 年齢+ACR=76
2012年: +19.2% 年齢+ACR=89
2013年: +31.5% 年齢+ACR=106
2014年: +15.4%  年齢+ACR=120

これで3年連続で名目資産が増えたことになります。リタイアすれば資産は減るのが当たり前だと思っていますので、これは一応嬉しい誤算と言えるでしょう。2008年の暴落にも狼狽することなく市場に留まり続けた冷静さ(鈍感力?)が、少しは報われたのかなと思います。

グラフにするとこんな感じ。青線の方です。
assetgraph-2014.png

赤線はUSD換算した資産残高推移です。こうして並べてみると、JPYベースよりも変化が緩やかな折れ線になっていることがわかります。2008年の暴落もドルベースだと−22.9%で、円ベースより随分マイルドな印象に変わります。

要するに、JPYというモノサシの長さがここ数年で大きく伸び縮みしているからですね。柔らかいゴムでできたクニャクニャのモノサシをイメージしてみてください。モノの長さ(購買力)がちゃんと測れる気がしないでしょう?

ドルベースで見ると、今年の資産残高は僅か1.6%の増加に過ぎません。両者の差13.8%は、昨年末と現在の為替レートの変動率とほぼ一致します。つまり、円ベースで大きく資産が増えたように見えるものの、その大部分はアベノミクスの円安誘導による貨幣錯覚効果でしかなく、購買力はほとんど増えていないことがわかります。

最近、株を持っている人だけが「アベノミクスの恩恵」を受けている、という表現を見かけることが多くなりました。でも上記のように円以外のモノサシで眺めてみると、実際は株を持っている人でさえも実質的な「恩恵」はほとんど無いのかもしれません。日本円しか持っていない多くの日本人がインフレ政策や増税でじわじわ貧しくなっていく中、インフレ抵抗力の高い資産を持っている人たちは辛うじて現状維持できているだけのことではないかと思います。

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posted by 遊民 | Comment(0) | TrackBack(1) | 資産運用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


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