2017年11月15日

『ブロックチェーン・レボリューション』 ドン・タプスコット,‎ アレックス・タプスコット(著),‎ 高橋 璃子(翻訳) その2



『WIRED』日本版編集長、若林恵さんによる巻末の解説より。

p.362-363
ブロックチェーンって、どっちかというと、というか日本では完全にフィンテックの文脈に乗っちゃってて、なんとなくつまんないなあ、って思ってたんですよ。「ブロックチェーンって、そういうことなんだっけ」っていう疑問がありまして。
同感。
フィンテックはファイナンス・テクノロジーの略なので、その守備範囲は金融に限定されますが、ブロックチェーンは金融以外にも広く使える技術です。あと、フィンテックの中にはブロックチェーンと無関係のものも多くあります。たとえば国際送金サービスを提供する TransferWise は代表的なフィンテック企業ですが、彼らの送金システムは今のところブロックチェーンを使っていません。

p.366
いずれにせよ、「お金の民主化」というのは、普通に考えて、近代世界の構成上あるまじき事態であって、インターネットがそれを可能にしてしまうのが明らかである以上、ぼくらは、近代世界を形作ってきたシステムそのものがひっくり返り得る、その歴史的転換のとば口に立っているのかも、ということが、まあその特集を通じて、見えてきちゃったんですね。
お金の民主化は「近代世界の構成上あるまじき事態」とおっしゃいますが、トップダウンに為政者目線で捉えると不都合だという話でしかなく、近代世界を形作っているのは国家というシステムよりも前に、まず最小単位である人間です。人間一人ひとりがフラットな視点で眺めるならば、お金の民主化は大変好ましいことだと思います。

p.368
──ビットコインはあまり面白くないっていうのはどうしてなんですかね。

うーん。ここは説明しようとすると若干矛盾がありそうで難しいところなんですけど、ビットコイン信奉者にありがちな極端なリバタリアニズムは問題提起としては面白いんですけど、やっぱりちょっと現実離れしているところがあって、気分的には若干苦手なんですね。
いや、暗号通貨の何が面白いかって、ガチガチの中央集権制である国家管理通貨を使わざるを得ない現状から、人々を解放しようとしている事が一番でしょう。その最大の利点を抜きにして暗号通貨を語っても、何も面白くありません。

とはいえ、ビジネス界隈でフィンテックの名のもとで語られるビットコインやブロックチェーンの話は、それはそれで、なんというか利便と利得の話でしかないように見えて、そっちはそっちでもっとつまらないなあ、と。
これは同感。
利便と利得の追求自体が悪いわけではないのですが、特に日本国内では金融機関の既得権温存が前提になっていて、利用者の利便そっちのけのサービスしか出てこないのではないかと危惧しています。

関連記事:
現代ビジネスの記事より。満員の「仮想通貨セミナー」で明かされたビットコインの光と闇(伊藤 博敏)…
koutou-yumin.seesaa.net



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2017年11月10日

『ブロックチェーン・レボリューション』 ドン・タプスコット,‎ アレックス・タプスコット(著),‎ 高橋 璃子(翻訳) その1



最近読んだ本です。
副題は『ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか』。

以前読んだ『ブロックチェーン革命』と同様、楽観的な未来予想図を描いています。

p.195
ピケティは資本主義を問題にしているけれど、悪いのは資本主義そのものではない。資本主義のしくみは、うまく使えば、富と豊かさを生むためのすばらしい道具になる。問題は、つぎはぎだらけの金融システムのせいで、そのメリットにふれることすらできない人が多すぎるということだ。
同意。

銀行を中心とする既存の金融システムがお粗末過ぎるのです。なぜそんなお粗末なものが21世紀まで生き残っているのかと言えば、各国政府が金融業をガチガチに規制、統制してきたせいでサービス提供の自由が著しく制約される上に、参入障壁も高くてまともな競争が生まれなかったからです。

参考ツイート:

p.197
「アフリカの多くの国では固定電話が整備されていませんでしたが、携帯電話がこれを解決しました。一足飛びに携帯の時代になったんです。ブロックチェーンはこれと同じ効果を金融の世界にもたらすでしょう」
既存の金融システムが深く根を下ろしている先進国よりも、銀行口座すら持てない人々が溢れている金融後進国の方が未来を先取りする可能性も見えてきますね。先進国でも今後、規制の上にあぐらをかいて現状維持しか考えていない金融機関は、どんどん先細りになっていくと思います。

参考ツイート:

(つづく)

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2017年11月05日

リタイア後の支出レベルと現役時代の所得は無関係

橘玲公式サイトより。
イギリスの経済学者2人が書いた『ライフシフト』(東洋経済新報社)で、高齢化時代の資金計画が試算されている。それによると、毎年所得の10%を貯蓄して(けっこう大変だ)、老後の生活資金を最終所得の50%確保しようとするなら(かなりギリギリの生活だ)、平均寿命85歳でも70代前半まで働きつづけなくてはならない。平均寿命が100歳になれば条件はさらに厳しく、80代まで働きつづけるか、それが無理なら引退時の所得の30%という貧困生活に耐えるしかない。
ここを読んだ時、かなり違和感がありました。

まず、「毎年所得の10%を貯蓄」することが「けっこう大変」なんですか?
この文脈での「所得」とは税法上のそれではなく年収と同義だと解釈したとしても、たとえば年収400万円なら40万円です。毎年40万円すら使わずに取っておくことが大変だと感じる人は、かなりの浪費体質ではないでしょうか。

以前読んだ本では、現役時代の貯蓄が年収*年齢÷10に満たない人は「蓄財劣等生」と言われています。関連記事:
アメリカのミリオネアのほとんどは、高級住宅街には住んでなくて、高級車にも乗ってなくて、高価なスーツや腕時計も身に着けていない、ご…
koutou-yumin.seesaa.net
たとえば22歳から42歳までの20年間毎年400万円の収入がある人の場合、1680万円の貯蓄が目標になります。橘氏が「けっこう大変」と言う10%ルールだと20年間で800万円。こんなヌルい目標では完全に蓄財劣等生になってしまいます。


次に、「老後の生活資金を最終所得の50%確保」だと「ギリギリの生活」になり、「引退時の所得の30%」だと「貧困生活」になるという、その根拠が不明です。「所得」ではなく「支出」を現役時代の50%や30%に切り詰めるという話ならわかりますよ。しかし橘氏や『ライフシフト』という本が基準にしているのは、なぜか収入の方なんですよね。そんな基準は、収入と支出が綺麗に比例している人でなければ使えないと思うのですが…。

私の考えだと、リタイア後の支出は資産残高と時間残高のバランスで決まるだけです。今後の生存可能年数を計算するのに過去の支出を参考にすることはありますが、過去の収入というパラメーターの出番はどこにもありません。

リタイア直前にどれだけ高所得なAさんでも、生活コストが高すぎて余命の長さの割に蓄えた資産が少なければ、リタイア後の支出はそれに見合ったものに下げる以外にありません。そんな「貧困生活」は嫌だと言うなら橘氏の言うように70代まで、下手をすると死ぬまでリタイアできない人生になるだけのことです。(むしろそういう人生を望んでいる人も少なくないことは知っています。)

対照的に、低所得でも蓄財優等生のBさんなら、リタイアが原因で生活が貧しくなる可能性は低くなります。それどころか、これ以上の蓄財は不要だと判断した時点で早期リタイアできる可能性も見えてきます。私はこちらの人生を望み、実践しています。

関連記事:
ITTINさんのブログにこんな記事がありました。 独身一人暮らし女だからこれからどうやって生き抜いていくか考えるブログ 「ボーナスの使い道」に違和感:「現在の総資産」から、何をしようか、いつ行おうか考える。 そのように考えると、消費するとしてもわざわざボーナスの支給月に合わせて消費する必要がありません。 というわけで、毎回ボー…
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2017年10月30日

日本はコスパの良い不思議の国?

Midori Fujisawaさんのツイートより。
先進国の中でも特に食事が不味くて高いことで有名なUK在住の方から見ると、日本の方が遥かにコスパが良いと感じるのでしょうね。

新興国も含む世界各国と比較すれば日本の物価はかなり高いほうなので、それに見合ったパフォーマンス(美味しくて行き届いている)が得られるのは当然じゃないかと思います。その点では「不思議の国」に住んでいるという認識はありません。不思議なのはむしろ英国の方です。北欧諸国ほどの重税福祉国家でもないはずなのに、どこをどう間違えるとそんなコスパ最悪の国になるのでしょうか。

参考ツイート。

しかも日本で比較的コスパがまともなのは外食チェーンなど一部に限られ、大多数のものは別段コスパが良いわけでもなく、交通費や宿泊費に至っては世界で最もコスパが悪い国の一つです。日本在住の私でも異常だとわかるぐらいですから、「なぜこんなに高いのか」と嘆いている短期滞在者も少なくないと思います。その答は、税やら規制やらのコストがてんこ盛りに上乗せされているからなんですけどね。

参考ツイート。


元ツイートの後半部分。
この価格破壊は短期滞在者以外の誰も幸福にしない。価値に見合う金銭的評価を得られれば、たぶん多くの人はもっと幸福になれるだろう。
より高品質なモノやサービスがより安く買えることで、幸福になる消費者は間違いなく存在します。たまたま自分にとっては安すぎると感じただけのことが、なぜ「誰も幸福にしない」という結論へ繋がるのか、そのロジックが分かりません。

自分の感覚を基準に他者の幸不幸について勝手に推測し、それを社会問題化して政治でどうにかすべきみたいな流れにもっていくことだけはやめてもらいたいですね。世の中を不自由で高コストにする無用な規制の多くは、人々のそのような無意識の「善意」から生まれるのです。価格が安すぎて供給者は不幸だと思う人は、任意でチップを払うなり寄付するなりすればよいだけではないでしょうか。

関連記事:
最近ブログ更新をサボリ気味なのと対照的に、ほぼ毎日何かしらリンクを貼っているツイッターで、やや多めの反応があったのがこちら。 賛成 "お米も、価格は 2160円 (消費税 160円、米農家への利益転嫁額 1200円)って書いてあるとか。こうしたら皆、TPP に反対か賛成か判断しやすい" 利益移転についても開示したらいーんじゃないの?- Chikirinの日記
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2017年10月25日

50歳以降の5年生存率から見えてくる早死にリスクの現実味

PuANDA さんのツイートより。
確かに。
平均余命と違って加齢による生存率の逓減がはっきりとわかる資料なので、早死にリスクの現実味が感じられて怖くなりました。

これを最新のデータで計算し直してくれた方も。
このデータを使って簡単な掛け算と引き算をすれば、50歳男性がX歳になる前に死ぬ確率が割り出せます。

Googleスプレッドシートで計算してみた結果がこちら。

50歳男性の死亡確率.jpg

死亡するリスクというのは、言い換えれば時間資産がゼロになるリスクです。金融資産の場合、適切に分散していれば100年に一度の暴落が来てもゼロにはなりません(でした)が、それより高い1.62%の確率で5年以内に時間資産がゼロになるリスクがあることを示しています。背筋が寒くなるような現実です。

時間資産も金融資産もどちらも大事なのですが、私は加齢するにつれてそれぞれのリスクへの感応度が次第に変わってきていると感じています。時間を失うリスクには敏感に、お金を失うリスクには鈍感になりました。40歳の私とは全く違います。


毎年クラスに1人だと確率が高すぎるので、学年で1人程度の割合でしょうか。もうそういうお年頃なんですよね。

関連記事:
当ブログ満9歳の誕生日を迎えました。 40歳で早期リタイアしてから早くも10年が経過し、ついに50代に突入。 最新の生命表によると、50歳男性が50代のうちに死亡する確率は (96006-91308)/96006=4.9% もあります。 この数字を見ると、老化によって病気や死のリスクが着実に増えていることを実感しないわけにはいきません…
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